「ジュースを全部やめて、お茶かお水にしてご覧なさい。効果ありますよ」
と、以前血圧を診て下さっていた内科の先生が、よく仰ったものだった。
『効果あります』というのは『体重が減ります』という意味だ。
私はその都度、適当な返事をするだけで、いっこうに痩せなかったので、
先生は私が相変わらずジュース類を飲んでいる、と思っていらしたことだろう。
ところが、実は私は、もともとジュースなど一切、飲まない。
先生が「こいつはジュースを飲んでいる」という前提を一方的にお持ちだっただけだ。
そんなに太っているのに?ホントに?とさぞかし不思議に思われるだろうが、
炭酸も天然果汁も関係なく、私はジュースなど飲みたいと思ったことがない。
というか、そもそも私は冷たい飲み物が嫌いなのだ。
冷えたものを飲むと、口の中や咽喉が変な具合に痛く感じるだけで、
ちっとも気持ちが良いと思わない。
だから私が日常、飲んでいるのは、季節を問わず主として室温の水で、
それと食後に、温かいお茶(ほうじ茶、緑茶、ウーロン茶等)、
またはコーヒーか紅茶(いずれもホット。砂糖もミルクも入れない)、というところだ。
痩せるために心がけているのではなくて、自然の欲求が、これなのだ。
その私が、買い物に行ったとき、「午後の紅茶」「ジャワティ・ストレート」
などの、500mlのペットボトルをたまに買って来ることがある。
自分が欲しくて買うのではなくて、来客用だ。
半袖を着る季節になると、お客様に出すのに熱いお茶というのも不似合いだから、
こういうものを冷蔵庫に常備しておくと、とても助かるのだ。
開封しなければ日保ちするし、少量のペットボトルはその都度、使い切れて、
お客様に出すごとに新しいものを開けるのだから、いつも風味が新鮮だ。
こんな有り難いものはないと思う。
だが、私の『つもり』は来客用であっても、
用心しないと主人や娘が、勝手にこれらを取り出して飲んでしまう。
ふたりは私と違い、水道水やミネラル・ウォーターを常温で飲むことは少なく、
お茶でもなんでもひとまず冷蔵庫で冷やしてから飲む。
ペットボトルに入った清涼飲料水など、とりわけ、ふたりとも大好きだ。
先日来、私は、ピアノの調律師さんに出そうと思っていた「午後の紅茶」と、
納戸の棚をお願いしている職人さんに出すつもりだった「ジャスミン茶」とを
相次いで、主人に先に開封されてしまった。
普段なら、主人は確かに、冷蔵庫の中のものは何を食べても飲んでも良いので、
このときも全く無頓着に、目に付いたペットボトルを開けて飲んだわけだが、
ご丁寧に、一本目を飲み終わっていないのに二本目も開封してしまい、
しかも直接ラッパ飲みで、どちらも、お客様には出せない状態になってしまった。
私はさすがに面白くなかった。
せっかく私なりに考えて用意したものを、
こちらの計画などお構いなしに次々と開封され台無しにされた。
二本もあったのに、また買い直さなければならないではないか!
だいたい、こういうものは常に、事前に冷やしておかないといけないのだから、
来客のある当日朝になって「ない!」ではとても困るのだ。
それで今回は、「午後の紅茶・ストレートティー」を二本買ってきて、
スーパーの袋に入れたまま、オモテに「禁!!来客用」とマジックで大書してやった。
冷蔵庫内には、勿論、主人の飲みかけの0カロリー飲料が数種類あったから、
このヒトが当面、飲むものに不自由しないことは確認済みだった。
また、娘が学校の売店で買ってきた「午後の紅茶・レモンティー」の残りも、
同様に冷蔵庫に入っており、彼女も新しいペットボトルを開ける必要はない状態だった。
果たして、さきほど夕食が終わって、冷蔵庫をあけた主人は、
「ウゲ!なんじゃこりゃ。『来客用』じゃと!?『禁』??」
と反応していた。早速飲もうと思ったのだな(--#)。
もはや、そうはさせないのだ。