秋……冬へのプレリュード | 転妻よしこの道楽日記

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うちの膨大なビデオテープを、できるだけDVDにうつして保管するようにしよう、
ということになり、先月から地道に作業をしているのだが、
今夜は、たまたまテープの山の頂にあったからというので、
私の所有する90年花組公演『秋……冬への前奏曲』をダビングした。
この公演は、来月、スカイステージでも放映されると思うのだが、
ハッキリ申しまして、ええ、かなり笑えます(^_^;。

谷正純先生の大劇場デビュー作品なのだが、
登場人物が香盤順(の逆)に次々と死んでしまうのは既にこのときから。
最後に生き残って歌っているのがトップでも二番手でもなく、
新人公演主役の愛華みれでもなく、香寿たつき(後の星組トップ男役)、
というのは当時の彼女のポジションがしのばれて興味深い。

話は、1930年当時のヨーロッパが舞台。
亡命ダンサーのユーリ・ミハイルコフ(大浦みずき)を
コマロフスキー伯爵(朝香じゅん)がパトロンとなって支援している。
ユーリは実はチェコ人で、本名ヤン・ヤナーチェク。
スロヴァキア人の恋人でダンスのパートナーでもあった女性と亡命を企て、
彼だけが生き残ってしまったことで、非常に虚無的に生きている。

……というのは、わかるのだが。
このヤナーチェクという男、ちょっと、いやかなり、おかしいと私は思う。
だって話の最初と、亡命後とで全然別人のようになってしまい、
死んだ筈の恋人ナディア(ひびき美都)が実は生きていたと知るや、
ショックでまた人格が変わってしまい、
なのに、アンジェイ(安寿ミラ)とジゼラ(白城あやか)にむかって
説教するようになってからは、妙に偉そうだし、
しまいには、なんだか大いなる人類愛に目覚めて国家統一に命を捧げ、
もうほとんど「それでアンタ誰」状態。
このヒト、本当に最初から最後まで同じ人間ですかね?

一方、コマロフスキー伯爵だが、こっちは、もう、もの凄く、イイ!
キザで色気があって、冷静沈着、でも内面は熱い!
女なら、一度こんなふうに愛されてみたい、の典型!!
でもって、ファーストネームがわかんない!!
(余談だが星組地方公演の『コマロフスキー伯爵編』のときでさえ、
彼のファーストネームは語られなかった。ほんとに無いらしい(爆))。

来月のスカステの放映ではどうかわからないが、
コマロフスキー伯爵が、ユダヤ人のレナーテ(香坂千晶)とともに、
外国へ逃げて結婚しよう、というラスト近くの場面が、
「宝塚花の指定席」「WOWOW」では全面カットになっていた。
朝香じゅんの名唱や、銀橋でのキスシーンなど、凄い名場面の連続だったのに!!
番組の最初に、谷先生と大浦のトークまで収録していたくせに!
っていうか、あそこカットだったら、伯爵はそれでどうなったことになるのか。
故郷に帰るというヤナーチェクを自由にしてやり、
別れ際「何も言うな!」と格好良く言いはなって、
……で、自分は居残って伯爵を続けたとでも?

しかしなんと言っても白眉は、この芝居の最後のほうだ。
「ドイツと組んでチェコを倒そう!スロヴァキアに独立を!」
と民衆をあおる活動家ルボル(真矢みき)の前に、
「ドイツに利用されているだけだ。祖国を滅ぼしてもいいのか」
となぜか純白のスーツ(いつ着替えた)で登場するヤナーチェク。
彼は、とりあえずナチが全部悪いってことにしとけば何言ってもOK、
なモノ凄い理論を展開したあと、結局説得に失敗し、窮地に追いやられると、
突然、チェコ・スロヴァキア国歌を独唱し始める。

ルボルと民衆(と観客)があっけに取られていると、
さらに登場する純白のワンピースのナディア(いつ着替えた2)。
彼女が唱和しだしたところで、響き渡る一発の銃声、くずおれるヤナーチェク。
続いてもう一発、倒れるナディア。
が、彼らはタダモノではない。
なんと、撃たれたら今度は、踊り出すのだ!!
それも、普通の人なら素面でも踊れない激しいパの連続。
グランジュテ、アラベスク、アントルラセ!ビバ、ゾンビのコンビ!!
すると!もっとビックリしたことに、周りも一斉に踊り出し、総踊り!!!

念のために言っておくが、これは心象風景ではない。
「ナディア、もうやめて!」「それ以上踊ったら死んでしまうよ!」
と後ろの人々が叫んでいるから、彼らは本当に皆で脚あげているのだ。

♪死ぬかと思えば ま~だまだ踊る 不死身な人ね(by田中マリコ)

いや~、改めて味わった。実に素晴らしい作品だ。
ほかにも、磯野千尋さんのヒトラーそっくりさんや、
未沙のえるさんと大舞夏織さんが兄弟という絶妙の配役等、見どころ満載。

スカステをご覧になる方には、乞うご期待(殴)。