私は今回の宙組公演『ファントム』を大変気に入っていて、
上演中、息をのんで観入っていたのは嘘ではないのだが、
そういう真剣きわまる私と同時進行で、自分の中には、
くだらぬ揚げ足取りに従事する、もうひとりの私がいたのも本当だ。
例えば、
ナンパなら楽譜の一部くらい買うてからモノ言えよシャンドン、
に始まって、
前に書いた通り、『選択権』が『洗濯機』に聞こえる一件とか、
『私は解任されてしまったんだ』『懐妊?』とか。
『僕には美しいものが必要だ』って言いながら、なんで自分は、
正気とは思えない真っ赤なモコモコを平気で着込むんだエリック、とか。
なにかっつーと『なんてことだ!』で始めるキャリエール、
ニ幕の半分を喋り倒す口八丁のくせに、もっとほかに語彙あるだろ、とか。
民間人のキャリエールに、あんなに簡単にピストルを奪われるなんて、
鳳凰伝の首切り役人さながらなマヌケぶりだぞルドゥ警部、とか。
だが、いちばん可笑しいのは、やっぱり、何度観ても、
声楽のレッスンの場面だろう。
ba-ba-ba、la-la-la、などと音階や分散和音を歌っていると、
ファントム先生が突然、ピアノを弾くのをやめてがっくりとうなだれ、
クリスが「先生……」と心細げに言うのだが、
こういうシチュエーションなら次に来るのは、
「……駄目だ。何度言ったらわかるんだ」
的な、先生の叱責や、ことによると失望の声であるべきだろう。
なのに、このファントム先生、しばらく沈黙したあと突然、
「君には僕が教えることは無くなった。もうオーディションを受けても大丈夫だ」って。
ええええ~っっ。
クリスとは全然別の意味で、っていうか実にいろんな意味で(殴)、
私は心底、驚愕しましたよ?
一方、私の観劇仲間である友人Sもまた、傑作だった。曰く、
「ファントムの従者ズって『タマネギ部隊』だよね」。
た、確かに!!
宙ファントムは、1ダースものイケメン従者たちを囲っているのだが、
彼らは全員、同じ服を着ていて、揃いも揃って美形で有能で、
職場では変人のご主人様一筋に、身を挺してお守りしている。
なるほど彼らは『パタリロ!』に出てくるタマネギたちにそっくりだ。
違うのはご主人様が、一方は10頭身で、他方は2.5頭身、という点くらいか。
ファントムが死ぬ場面で、私が毎回泣いている、
と言っても、信じて貰えませんかね(^_^;)。