昨日、主人は言うなれば「夜勤」で、官舎に詰めていた。
この種の当番が月に数回まわって来て、
そういうときは主人がひとりで官舎に泊まるのだが、
夜中に事件があったら、即座に職場からの電話で叩き起こされる。
多いときは一晩で二度も三度も電話が鳴る。
が、平穏な夜には何もない。そうなると朝まで熟睡だ。
それだってちゃんと当番1回分と数えられるから、
そういう夜に当たれば大儲け、という気分になる。
で、昨日はというと、ハズレだった。
寝入りばなに一件あったあと、夜中の三時に起こされたら、
いきなり、赤ん坊の腐乱死体だったそうだ。
飲酒運転とか窃盗とかならまだしも、
寝ぼけ眼に、そのように強烈なものを見せられて、
主人は本気でウゲウゲだったと言っていた。
なむあみだぶつ。
今は、当番の日に主人だけが官舎に泊まるのだが、
以前は、転勤先で家族全員が官舎で暮らしていたから、
当番の日は私もいつでも起きられる体勢で寝るようにしていた。
転勤先の職場のやり方が、土地土地によって違っていて、
場合によっては、職員さんや警察の人が部屋まで来ることがあり、
そうなるとお茶出しが私の仕事だったのだ。
私は全く不眠症ではないから、そういうことを一晩に何回させられても、
すぐまた寝入ることができた。自慢できるのはこれだけだった(^^ゞ。
これは何年も前だが、やはり当番の夜、
確かまだ日付が変わらない時間に、一件目が来た。
事件の内容は「強姦」。
主人の感想は「そんな無理せんでもいいのに、というようなイイ男だった」。
丑三つ時に来た二件目は「変死体発見」。
主人の感想は「結構ましな水死体だった。まだ土左衛門ではなかった」。
そしてさぁ寝ようとしたとき、この夜三度目の電話が鳴った。
私が出たら、電話の向こうで、
「はぁ……はぁ……はぁ……」。
私は一瞬、
『ついに納骨の日がお決まりになりましたね』
と古典的手法で撃退しようかと思ったが、考え直して、無言で主人に渡した。
主人は何事かと険しい顔で電話を受け取ったが、その声を聞くなり、
「わぁっはははははははは」
と爆笑した。主人は寝不足でキレており、それで電話もすぐ切れた。