おばーちゃんを見ていると、
ひとは、もと来た道をたどって帰って行くのだな、
と思わずにいられない。
おばーちゃんの介護は、私にとってまさに、
娘を育てたときの育児の日々の、順序逆の、追体験に他ならないからだ。
三年前、おばーちゃんは、まだ、伝い歩きが出来た。
二年前の夏には、つかまり立ちなら可能だった。
しかし、それからほどなく立てなくなったおばーちゃんは、
去年の春には、もう「お座り」も難しかった。
今は、寝返りも打てない。
スプーンなら使うことが出来た時期もあったが、そのうち、全介助になり、
食事内容も、一口大の普通食から、きざみ食、ミキサー食へと移って行った。
最近のおばーちゃんのメニューは、まさに離乳食だ。
私は九年前を思い出す。豆腐、ヨーグルト、野菜の裏ごし、おかゆ、ミルク。
おばーちゃんの心の中は、今、どうなっているのだろう。
体が動かせなくても、頭の中は相変わらず元気な主婦のままで、
明日、新舞踊の発表会に出かけるような気分でいるのかな。
それとも、体と同じように、心も赤ちゃんみたいになっているのだろうか。
ヨメの私から、丁寧な言葉や礼儀正しい言い回しで労って貰うより、
「よしよし」と頭をなでて貰うことのほうが、もしかしたら嬉しいかな。
救いは、おばーちゃんがいつもニコニコしていることだ。
おばーちゃんは、誰のことも悪く言わない。
とんちんかんなコトを言ってみんながそれを聞いて笑うと、
おばーちゃんも一緒になって笑う。
家族みんなが、それでなんだかちょっと楽しくなる。
あんなこともあった、こんなこともあった、と、
娘との日々を思い出すことが毎日、本当にいろいろとあって、
私としては、とてもしんどくて切なくて、やっぱりしんどい(^^ゞ。
が、ただ、ただひとつ、私にとって、育児時代と今とでは、全然違うことがある。
それは。
娘を育てていたときには、私は、激痩せした。
産後、旨い具合に母乳が出たお陰で、
誕生時3キロ未満だった娘が1年で十キロ近くにまでなり、
その間、私の体からは、どんどんカロリーが消費されて行った。
それが、今は、どうだ。
介護太り、とはよくぞ言った。
私は、この1年で5キロ太った。
授乳なんか全然ないうえに、ストレス解消と称して食ってばかりいるから、
ツヤツヤ、まるまると肥えているのは、今じゃ、他ならぬ私だ(爆)。