第4章 Dead Or Alive
「さて・・・・」
いづいは腕組みをしてしばし考え込むしぐさを見せた。
「ちょっとばかり難儀な相手だな」
そういうとくるりと身を翻してついてきた増援の軍を見渡した。
「ここから先は俺たちのみ。貴様らは援護を頼む」
そういうと何人かの将兵は安堵のため息を漏らした。
「ま、妥当な選択だな」
リグが答える。
「人数が多ければいいというものでもないからな」
SPAWNがOkakeiを呼び寄せる。
「聞いての通りだ。お前らはここで俺らの援護を」
Okakeiはいかにも悔しそうな顔を一瞬みせたが、思い直すように姿勢を正した。
「はっ!」
Okakeiは直立不動で敬礼する。
SPAWNは黙って頷くとチームの輪に戻った。
「さていくか」
「ええ。救助を待っている人がいるのよね」
Risaがきゅっと唇をかみ締める。
「そうだ。でなきゃ逃げ出しそうだ」
ハマさんはそういうとくすりと笑った。
チームのメンバーはするすると岩山から降りるとそれぞれが武器を構えて歩き出した。
「なぁ、あれはウラルの光の戦力か?」
ハマーンがおよそ100mほど遠方の”人ならざる群”を指差しながら誰となくたずねる。
「いや、多分違うだろうな。」
天才が答える。
「軍の研究成果であれば正規軍側にも同じようなのがいるはずだ。さっきのWHといい、この前の情報収
集で得た兵器の開発量といい、正規軍から離反した勢力の手に負えるような質と量じゃないな。
俺の推測ではウラルの光のパトロンがあてがったものだろうよ」
「だろうな。ウラルはいまや各国の軍事産業にとって格好の実験場だ。内戦ということもあって直接に
利害の対立する国もない。ここなら思う存分宣伝ができるというものだ。」
いづいがさらにつなぐ。
「いずれにせよ、許し難い」
ロンズが手にした斧をぎゅうぎゅうとしごきながら答える。
「人をあそこまで変えるなんざ、人間の仕業とは思えん。戦場にも最低限のルールはあるんだぜ・・」
ジョーがハンドガンを構えなおす。
「いくぞ・・・」
いづいが声をかけるとチームは隊列を楔形に変え、ゆっくりとした歩みからやや小走りに群に近づく。
「正面ドアから侵入だな」
ハマさんが確認をとる。
「ああ!まずはこいつらを蹴散らしてドアから内部に入る。ドアは最後尾が封鎖、いいな」
群に楔の先端が接触する。
「始まるぞ・・・・」
岩山からスコープ越しに覗くOkakeiがつぶやく。
瞬間、楔の周囲の群がはじかれる様に倒れていく。
楔の陣形のままチームは周囲の敵に銃弾を浴びせる。
「ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!」
それぞれの銃は装填弾数が異なるが、周囲の弾幕が途切れることのないよう換装のタイミングを微妙に
ずらしながら、楔は群の中心を切り裂くように進んでいく。
「なぁ、こいつら、生気がないな・・・」
ハマーンがつぶやく。
確かに敵とは言いがたいほどその動きは緩慢で、しかもみな生気のない顔をしているのが真近で見て取
れた。
「ゾンビってこと?」
Risaが聞き返す。
「映画の中の話だと思ってたが、実際に対峙することになるとはな」
建物のドアまではまだ少し距離があるのをいづいは確認すると、次の指示を飛ばす。
「数が多い! 近接戦闘でなぎ倒す! 手間取るな!」
その途端、ハマーン、リグ、ロンズ、ジョー、天才が一段となって群に飛び込む。
「はっ!」
彼らは刀身の長い刀で周囲の敵をなぎ払う。
「頭を狙え!」
SPAWNが更に指示を飛ばす。
Risa、いづい、SPAWN、あんせる、ハマさんはその間にドアを目掛けて銃を撃ちながら走り出す。
「よし!」
ドアにたどり着くとドアを背にして銃を構える。一斉に銃が火を噴くとそれまで彼らを追いかけていた
群はばたばたと倒れていった。
と同時に刀で斬り回っていた4人が走りよる。
すばやくドアノブに銃弾を浴びせ、鍵を破壊しドアパネルに体当たりを食らわせると、鋼鉄製のド
アは人が通れるほど開いた。
全員がするりとその隙間に入り込む。
最後尾のSPAWNは手持ちの手榴弾のピンを一気に引き抜き、後ろ手にドアにわらわらと殺到する敵に放り
投げる。
「わるいな、お前らの相手は長々としてはおれんのよ・・・」
そういうと、ドアは中から押し返され、ぴしゃりと閉った。
と同時に手榴弾が炸裂し、周囲の敵は木っ端微塵に吹き飛んだ。
岩山からその様子を見ていたOkakeiをはじめとする援軍の将兵は暫く声が出なかった。
「あの数の化け物の中を、あの人数で潜り抜けたぞ・・・・」
「信じられん・・・・」
将兵の一人が絞り出すような声でうめく。
「化け物だな・・・・・」
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「どぉうん!」
ドア越しに手榴弾の爆発音を確認するとSPAWNは振り返ってチームに告げる。
「OK。先に行こう、客はお引取り願った」
それを聞いたメンバーはそれぞれがにやりと笑った。
第4章 Dead Or Alive 完
第4章 Lost Children に続く