第4章 Strikeback
いづいは車座になったメンバーの顔をぐるりと見渡す。
(漸く陣容がそろったか・・・)
「さて、装備は補充されたが、肝心の攻め手がない。どうする」
リグが口火を切る
「定石どおり夜戦だと思う」
いづいが問う。
「夜間の戦闘でも敵のWHは効力が落ちないのではないか?」
ハマーンが身を乗り出す。
「閃光弾で視界を奪って突入すればいいんじゃないか?」
Risaが紙にさらさらと先ほど攻めあぐねた敵の拠点の周辺図を書く。
「出入り口が2箇所あったわよね。そこから同時に侵入すれば成功の確率は上がると思うわ」
「では俺が援護をしよう」
あんせるが答える。
「よし、夜戦を仕掛ける!」
いづいが立ち上がるとメンバーも立ち上がる。
「2箇所の侵入はSPAWN、ジョー、ハマーン、ハマさんこの4名、あとは援護だ」
「補充された中から何人か連れて行こうと思うが、いいか?」
SPAWNが尋ねる。
「ああ」
了解を得るとSPAWNは早速輪から外れ、補充された兵士が屯する岩陰に向かった。
「作戦が決まった、侵入チームに志願するものはいるか」
SPAWNはそう怒鳴ると暫く反応を見るように兵士達を見渡す。
(随分と若い兵士が多い・・・。ウラルもいよいよ兵力の底が見えてきたか・・・)
SPAWNが見渡すと兵士達は皆一様に視線をはずすようにうつむいた。無理もない。ウラル国軍は戦力を大幅に削がれた形でここ10年を過ごしてきており、その間、戦乱らしいものもなかったおかげで兵力と錬度が著しくつりあっていなかった。
したがって階級上ではSPAWNらの上位にあるものもいるにはいるが、戦歴は無論、経験という意味ではそれこそ新兵並であり、SPAWNの志願の問いかけに呼応するものはいなかった。
(だめか、やはり)
SPAWNが諦めて踵を返そうすると一人の兵士が前に進み出た。
「志願します。」
SPAWNはその兵士を品定めするように頭からつま先まで観察する。
「いつかはご一緒したいと思っておりました!Okakeiです!」
SPAWNがこの戦地に赴くために搭乗したヘリに乗りあわせた兵士だった。
「おお!」
SPAWNは思わず感嘆の声を上げる。
「そうか!」
それにつられるように何名かの兵士が前に進み出た。
進み出た兵士の数は18名。
いずれも若い兵士ばかりだが、8名ほどは多少の戦場経験があることを思わせる顔つきと体をしていた。
SPAWNはOkakeiをはじめとする志願兵を並べると何人かの肩を叩き、一歩下がらせた。
残ったもの、下げられたもの双方ともにその意味を図りかねたようにお互いに顔を見合わせていた。
「下げたものは申し訳ないが連れて行けない。」
下げられた兵士たちの表情に困惑の色が浮かぶ。
「悪く思うな。お前ら新兵の心意気は買うが、死ぬ確率が高い。俺はお前らの死に水をとる気はない。」
SPAWNが冷たく言い放つと10名の兵士達は引き下がるほかなかった。
残った8名の兵士をSPAWNは兵士の屯する岩陰からやや離れた岩場に移した。
「いいか、コミュータのレンジはチームと司令部に合わせろ。俺の命令で動いてもらうが、1つだけ約束してほしい」
「一番大事なことだ」
やや間をおいてSPAWNが続ける。
「やばいと思ったら逃げていい」
その言葉を聴いて兵士達がざわつく。
「命令違反となります!」
Okakeiが眼を見開きながら反論する。
「いや、いいんだ。お前らは若い。ここは無理をする場所じゃない。」
SPAWNは一人一人の兵士にスカルを手渡しながら話しかける。
全員にスカルがいきわたるとSPAWNは全員を前にして一段と声を張った。
「いいか、死ぬなよ」
「はっ!」
全員が敬礼し、SPAWNを見据える。
「OK。では作戦部隊に合流だ」
SPAWNを先頭に8名が歩き出す。
(何の因果か、またチームを率いることになるとはな)
SPAWNは内ポケットから白のフェイスマスクを取り出して、装着した。
それをみたOkakeiが訝しげに尋ねる
「あのぅ。戦場でそのように目立つ装備は禁忌とされていると思うのですが・・・・」
「ああ、これか。まじない・・・・だな」
「まじない、ですか」
「これをつけての負け戦はただの一度もない・・・・」
「あなたのような歴戦のツワモノでもげんを担ぐのですか」
やや驚いたようにOkakeiはしげしげと白のフェイスマスクをつけたSPAWNを覗き込む。
「チームが生きて帰るためなら縋れるものには縋るさ・・・・」
第4章StrikeBack 完
第4章 Roar of Wolf に続く