小説:アサルト選抜チーム | RCSPAWNのブログ

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第3章 Revenge

アサルト選抜チームを中心に編成された100名のチームは「ウラルの光」攻撃拠点に攻撃を仕掛けていた。

工場地帯の中央に巧妙にカモフラージュされた拠点で後方は断崖絶壁となっており、攻めるに難しく守

るに容易い拠点のようではあったが、チームは押し気味に作戦を進めていた。

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「いよいよ敵の拠点を獲りに行く」

そうガヤルドはいづいに告げた。

「今回の作戦は君のチームを中心に編成した・・・。いわば必奪の構えだ。」

(いつになく持ち上げるな・・・・)

いづいは饒舌に作戦を披瀝するガヤルドの様子を観察していた。

「そして、今回の作戦の指揮はこの方だ・・・・。」

ガヤルドが紹介すると円卓の中央に座っていた青白い顔の将校が立ち上がる。

「スワブ中佐だ。今回の作戦の指揮をとる。よろしく頼む」

同席していたSPAWNがいづいに耳打ちする。

「実戦経験がなさそうだな・・・・。そのわりに中佐とはな」

いづいは改めてスワブに眼をやる。

円卓に座る面々がいずれも筋骨たくましく、浅黒く日焼けしているのに対して軍人とは思えないほどひ

弱な印象を受ける。

(確かに・・・・。SPAWNのいうとおりだな)

「では作戦開始は1時間後、各チーム準備を!」

メンバーが席を立ち部屋を出るのに逆らうようにいづいはガヤルドの元に歩を進める。

ガヤルドは資料をアタッシュケースに入れて、立ち去ろうとしている。

「おい」

「なんだ?」

「あの指揮官の素性は? 戦歴は?」

矢継ぎ早に質問をするいづいをガヤルドは訝しげに見上げる。

「・・・・それを聞いてどうする?」

「30人からのチームを預かる大将だ。それなりの人間でなければ統率は出来ぬ」

ガヤルドは一旦は上げた腰を再度椅子に下ろした。

「彼はさる軍閥の子息だ。国防大学を主席でこの春卒業して今回の作戦が初陣、だ」

「経験がないに等しいものを指揮官にして今回の作戦が成り立つと本気で想っているのか?」

いづいがやや語気を強めて問いかける。

「貴様の国の事情はよく知らんが、少なくともウラルでは珍しいことではない。」

さらにガヤルドは続ける。

「先の大戦で多くの優秀、勇猛果敢なウラル軍人が死んだ。加えて国連決議に基づいてわが国は国防予

算を10%まで落とされて、兵力の維持すら危うい状況で10年を過ごした。その間、ウラルの軍事面のパ

トロンとなったのは軍閥だ。かれらの申し出を断ることは出来ない!。」

「悔しいが我々はやつらに飼われてこの10年! 耐え忍んできたのだ! 貴様ごとき外来にこの屈辱が

理解できるか!」

ガヤルドは珍しく感情をあらわにして机をどんどんと叩きながら喚く。

「・・・・・すまない。気が高ぶったようだ・・・」

漸く平静を取り戻したガヤルドはいつもの冷めた視線をいづいに向ける。

「スワブ中佐を司令官とし、貴様を副官とする。これで文句あるまい」

「わかった」

いづいはそういうと部屋を後にした。

部屋の外ではSPAWNが待っていた。

「珍しく感情をあらわにしていたな」

SPAWNと並んでチームのミーティングルームに歩いていく最中、いづいがSPAWNに尋ねる。

「どう想う、この作戦」

「内容的に難易度は低い。多少指揮官が心許無くても失敗のリスクは少ないだろう。ただ・・・」

「ただ・・?」

「仮の話だが、戦況が思う様にならずに、気負いすぎて撤退のタイミングをはずすことにならなきゃい

いが、と考えている」

「そうなれば殴ってでも撤退するさ。俺は副官だからな」

いづいはそういってにやりと笑う。

「ま、万が一、だがな」

そういうとSPAWNは一人ハンガーへと消えていった。

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「選抜! さらに前方へ!」

スワブが命令を下す。

いづいはコミュータとハンドサインでメンバーの配置を指示する。


メンバーは攻撃拠点の車両出入り口のような通路を取り囲むように配置をかえる。

「援護の弾幕を張りつつ、突撃要員3名を基点に内部侵入、一気にけりをつけるぞ」

いづいがまさに合図を仕掛けた瞬間、選抜メンバーの周囲を固めていた友軍がばたばたと倒れ始めた。

「なっ?!」

いづいは攻撃目標の周囲を確認する。

「敵が出てきたわけじゃなさそうだが!」

それでも確実に周囲の友軍は銃弾に倒れていく。

(どういうことだ? 敵の姿は見えないが、こちらは撃たれている)

「ウォールハックだ!」

ハマーンがコミュータで叫ぶ。

「下がれ!」

いづいが反射的に命令を下す

(敵には俺らの動きが見えている!。この状況では一旦後方に引くほうがいい)

いづいが後退しながらスワブの元にたどり着く間も周りの友軍はつぎつぎと倒れていく。

「中佐!」

いづいが声をかけるとスワブは防護壁の後ろに回りこんでへたり込んでいた。

(やはり実戦経験がないとこの状況はしんどいか・・・)

「中佐、敵は新型の装備を持ってる! こちらには対抗手段が今のところない、一旦引いて建て直しを

具申する!」

「・・・・撤退は出来ない・・・・ガヤルドは簡単な作戦といったのだ、ここで引けば私の戦績に傷が

つく・・・・」


スワブは震える声を絞り出すようして答える。

「このままじゃ、全滅だ。引くのも作戦のうちだ!逃げるわけじゃない!」

「私は国防大学を主席で卒業したんだぞ、其の私が!」

スワブは「逃げる」の言葉に過敏に反応して立ち上がり、顔を赤らめて激昂する。

「貴様のような傭兵とは違って私はこの国を引っ張るべきエリー・・・・」

そういった瞬間スワブの顔は右半分を残して鮮血をぶちまけながらまるでスイカの様に破裂した。

顔を失った華奢な体は、よろよろとふらついてぱたりと倒れた。

「・・・馬鹿が! この状況で我を忘れるなんて・・・」


いづいはスワブのコミュータを拾い上げると部隊に告げた。

「副官いづいだ。スワブ中佐殿は名誉の戦死をされた。以後の指揮権は俺に移った。」

一呼吸おくといづいはさらに続ける。

「各チームは攻撃を中止し、逐次防衛線まで撤退。体勢を立て直す。選抜、撤退サポート頼む」

いづいはスワブの階級章と帽子を拾い上げると近くの兵士を呼び止めた。

「わるいがこの大将も一緒に引き上げてくれ」

まるで潮が引くように味方の軍勢は取り囲んでいた拠点から徐々に後退し始める。

「厄介なものが出てきたな」

いづいは階級章をしげしげと眺める。

「軍人でなければだめだったのか? 国の建て直しは軍だけの仕事ではないだろうに・・・」


Revenge 完

第3章 The last one piece に続く