小説:アサルト選抜チーム | RCSPAWNのブログ

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第3章 GetBack


「マスター、一旦下がるか?」

SPAWNが声を掛ける。重装機兵は隊列を90度反転させた状態でガトリング砲を構え始めている。

「瓦礫を盾にして凌ぐか」

いづいがコミュータでチームに伝える。

(しかしこいつらの指揮官は・・・だれだ)

SPAWNは10体の重装機兵を瓦礫越しに観察する。

重装機兵はそれぞれが指示を受けて動いているようだが、この10体の中に指揮官がいるのか、遠隔で

指示されているのか、判別が難しかった。

また、その指揮官の錬度も不明確でこのままでは火力差で押し切られる可能性が高かった。

「事態を打開するには”かま”かけて見るしかないか・・・」

重装機兵の後方3kmに一台のトレーラが廃屋の陰に隠れている。

ちょうど影となり、いづいらからは目視、スコープでの確認ができない位置だ。

トレーラは黒塗りでエンジンを掛けたまま、そこにいた。

中には白衣の男が3人。2人はモニターを前に座っており、一人はコーヒーを飲みながら立って壁一面に

あるモニタをそれぞれ注視していた。

屋外は40度近い気温だが、車室内はエアコンが効いており、モニタから映し出される戦場からわずか

しか離れていないとは思えないほど

静かで快適だった。

「4番機被弾、ドラッグシステム作動後、脈拍、心拍数正常値に戻りました」

「よし。仕様どおりだな。チューブも目論見どおり機能したか」

立っている男はモニタ前の男に問いかける。

「さっきの被弾部位はどこだ?」

「頚部です。」

モニタを注視している男が答える。

「ふむ。弱点である可動部に当ったのか・・・・」

「拠点の反撃は期待できないから、こいつら相手に実戦テストは継続だな。」

モニタには瓦礫を盾にして反撃するアサルト選抜チームの姿が映し出されていた。

「よし攻撃開始」

重装機兵はその声に反応して再びガトリング砲を撃ち始める。

その銃撃により瓦礫の周辺からは猛烈な砂埃が舞い始める。

「マスター、俺とハマさんで陽動を仕掛ける!」

SPAWNがコミュータ越しに怒鳴る。

「了解!」

SPAWNはやや後方に控えて狙撃中のハマさんのほうを振り向くと、手で合図を送る。

気付いたハマさんがSPAWNの後ろに移動する。

「俺と二人でやつらの後ろに回りこむ。もう少し近づいて打ち込まないと埒があかんからな」

「OK。突っ込み甲斐があるな」

ハマさんがにやりと笑う。

「Go」

SPAWNの合図と同時に二人が砂煙の間隙を縫って走り始める。

(さぁ、俺らの動きを見てどう反応する?)

SPAWNは走りながら重装機兵の動きを観察する。

と、2体がSPAWNらの動きにやや遅れて反応し、反転し始める。

ほう、走りながらその様子を確認すると

「マスター、指揮官含めてこいつらの錬度は低い!。撹乱しながら個別撃破はどうだ!」

そう言いながらSPAWNとハマさんはその瓦礫に飛び込む。

2体はその方向に反転するとガトリング砲での攻撃を開始した。

火力に圧倒的な差がある場合、優位な方はその火力により形成される弾幕で敵勢力を押し込め、制圧し

ていくのが常道である。

SPAWNたちが展開し、別の地点から攻撃を加えたところで、火力の差があれば、その反撃の度合いは攻撃

の威力に比べれば相殺されて余りあることは軍人であれば容易に理解できる戦術だった。

「攻撃目標はロンズが攻撃したやつだ。こいつの首を狙う。俺とジョーが援護する。」

いづいとジョーがそれ以外の重装機兵に銃撃を浴びせる。

倒すことが目的ではなく、銃撃の衝撃で静止させないようにすることが目的だ。

二人の銃撃により先ほどロンズが仕留めたと思われる機体以外は衝撃を受けてふらふらとよろめいていた。

そのよろめいたせいで、重装機兵の持つガトリング砲は焦点が定まらず、弾幕はその密度が徐々に薄く

なっていった。

「おい、この画面の乱れは何だ!」

トレーラーで白衣の男が叫ぶ。

「機体に銃撃が加えられ、その衝撃でふらついているようです」

「・・・仕方がないか、軍人じゃないからな。もう少し踏ん張ってくれりゃいいんだが。」

白衣の男は深くため息をついて、ポケットからタバコを出すと火をつけてくゆらせ始めた。

「制式化されれば軍人が入るから、もう少しましなうごきにはなるんだろうな・・・・」



SPAWNがコミュータ越しに叫ぶ。

「ロンズのが打ち込んだ場所にもう一度打ち込む!」

「援護する・・・・」

そういうとハマさんは瓦礫から飛び出し、重装機兵の背後から可動部である膝裏を狙って撃ちこみなが

ら、瓦礫を転々と移動する。

その動きに翻弄されるように一体の重装機兵は右へ左へと向きを変える。

しかし、その動きは鈍重でとても移動するハマさんの動きを捉えられていなかった。

その間ガトリング砲は標的のない場所に無駄な砂埃を立てるばかりだった。

その間もロンズ、Risa、リグ、ハマーン、天才らが精密射撃を続ける。

「ドンッ!!」

「よし!」

ロンズが叫ぶ。ついで、Risa、リグ、ハマーン、天才が、同一部位に弾丸を撃ち込む。

重装機兵の首からは大量の血しぶきが上がる。

(これで倒せなきゃ厄介だな)

ゆっくりと膝を落とす重装機兵を見ながらいづいがつぶやく。

SPAWNがスコープ越しに重装機兵の動きを捉える。

SPAWNの位置からはちょうど真横になり、重装機兵の被弾部分は直接狙撃ができない。

(あのスキマから首に当てて吹っ飛ばすか・・・・)

人差し指にぐっと力を込め、呼吸を止める。スコープは重装機兵の首周りを覆うカラーの隙を追尾する

ようにゆっくりと動く。

人差し指がトリガーを引き絞る。と、同時に弾丸は焼けるような空気を切り裂きながらカラー目掛けて

飛んでいく。

(もらった!・・・・)

弾丸はカラーの隙からカラーにあたり、弾き返されると、重装機兵の首を直撃した。

今までよりも多くの血しぶきが上がると、重装機兵の頭部はゆっくりと胴体から離れ、ごろりと地面に

転がった。

主を失った重装機兵の胴体は、そのまま、どうっと地面に倒れこんだ。

「おお!」

チームから感嘆の声が上がる。

「よし、個別撃破だ。この調子で行くぞ!」

いづいがコミュータでチームを鼓舞する。

「方法さえわかれば俺らにできないことはねえな・・・」



「4番機、被弾!、脈拍0、心拍0!」

モニター画面には周囲を血で染めた重装機兵が倒れている姿が映し出されていた。

「ちぃ!!」

白衣の男はタバコを床に投げ捨てる。

「撤退だ。これ以上は無駄だ。」

チームが勢いづくのと同時に重装機兵が攻撃を中止した。

(どうした?、次の動きがあるのか?)

と、重装機兵は踵を返すと胴体だけとなった機体を他の機体が引きずりながら撤退を始める。

「追撃するか?」

ジョーが確認する。

「いや、俺らの任務は救援だ。とりあえずほっとけ。それよりも拠点のやつらの無事を確認する」

「ご苦労だったな。トレーラまで帰還したら君らは自由だ。」

先ほどの男がマイクで話しかけ、それだけ話すとスイッチを切って腕組みをしながらしばし考え込む。

モニターにはトレーラが写っており、重装機兵はすぐそこまで撤退をしていることが見て取れる。

「ここについたらドラッグシステムを起動して全量注入だ。」

「はい」

やがて重装機兵が9体、トレーラ横に整列した。

「今から装甲解除する。」

マイクの通話部を押えながら男がモニタの男に指示を出す

「やれ」

暫くしてすべての重装機兵前面の装甲が観音扉のように開くと、中から男がごろりと倒れこむように出

てくる。

皆、苦悶の表情を浮かべて死んでいた。

トレーラから降りてきた白衣の男はそれらを蔑むかのように一瞥すると、空となった重装機兵の収納を

他の男に指示した。

トレーラにすべての重装機兵が格納されるまでの間、男は廃屋の日陰でタバコをすいながらその様子を

眺めていた。

「装甲は期待通りの性能を示したが、可動部分は狙われたな。そもそも精密射撃で狙われる、という想

定はしていなかったわけではないが、あれほど正確にやられるとな」

男は思案をめぐらせながら2本目のタバコに火をつける。

「格納終了しました」

ドライバー役の男が駆け寄ってきて報告する

「よし帰還するぞ。早いところ帰って結果報告しないとな」

ドライバーの男はちらりと無造作に捨て置かれている死体を見ると

「あれはどうしますか?」

とたずねた。

「もって帰るものの中に死体は入ってないからな。それに自由にしてやったんだ。それ以上は責任もて

んよ」

そういうと男はトレーラに乗りこんだ。

ドライバーの男もそれ以上話をせず、運転席に乗り込む。

ゆっくりとトレーラは廃屋から出ると、物陰に隠れるようにルートを選びながら走り去っていった。

GetBack完

第3章 Doomに続く