小説:アサルト選抜チーム | RCSPAWNのブログ

RCSPAWNのブログ

ブログの説明を入力します。

第1章
**********The Past

「死神の花嫁」その名を聞いたのは随分昔のことだ。

(俺が少尉だった頃か・・・)


その頃、ウラルの隣国、軍事政権国家レンツの反政府活動家にその通り名を
持ったものがいる。
そうSPAWNは記憶していた。無論、SPAWN自身がその通り名を持つものを見たことは無かった。

(随分昔のことだ、あの娘が通り名を受け継いでいるのか? それとも偶然昔の通り名が使われたか)

Risaを見つめるSPAWN。

「よし、手当てはあらかた済んだようだな」
いづいが橋上に他のメンバーとともに現れた。
「戦果確認をする。警戒は怠るなよ。けが人は後方についてくれ」
「OK」

「ジョー、随分やられたわね、ハマも。」
「ああ」
「SPAWN、援護できてたの?」
Risaが射るような目でSPAWNを睨む。
(ちぃ、女性ににらまれるのは性に合わんな)
SPAWNはわざと視線をはずす。
ハマが、SPAWNの肩をぽんと叩きながら言う。
「きっちり援護してたぜ。加入してすぐだ、こんなもんだろ。俺らの連携だってほめられたもんじゃない。もっと密に連携できればリスクは減るはずだ」

「ならいいけど。」
Risaは射るような目で再度SPAWNを睨む

(やれやれ、理由はわからんがお気に召さないらしいな)

メンバーはそれぞれ武器を構えなおし、シャッター側から”砦”の中に入る。
いづいたちが中に入ってすぐの空間は"砦”というにはあまりに貧弱だった。
コンテナが数個あるだけで、敵の侵入に備えるべき装備らしきものはないに等しかった。
敵の死体と友軍の死体がごろごろと至る所に転がっていた。
硝煙と埃で靄がかかったようになっているが、血のにおいがあたりに漂い、地獄という例えが
相応しい場所になっている。

「ほう」
思わずSPAWNが声を上げる。Risaが銃弾を打ち込んでいた先には何人もの敵の死体が折り重なっていた。
(勘とやら、は信じないほうだが・・・・。ここまでやるとなると第6感とやらを信じねばなるまい・・・。)
シャッタ裏には2名の敵の死体が転がっている。
それを確認したSPAWNにジョーとハマが親指を立てる。
「すげーな、じーさん!脳天一撃かよ!」

1階のフロアの中央でいづいが辺りを見回してメンバーに問いかける。
「おかしいと思わないか?」
「ああ、とても拠点とは思えないな」
ハマーンが死体のいくつかをひっくり返しながらいう。
「どれも防弾装備をしてない。」
「とにかく2階も見てみよう。リグ、ロンズ!」
二人が1階のキャットウォークを上がり、2階の回廊を先に進む。
回廊の奥に扉を発見するとリグが1階のメンバーに向かって

「扉らしきものがある」
とゼスチャーで知らせる。それを見たメンバーはつぎつぎに2階に上がる。
リグとロンズは扉の両脇で銃を構えている。
いづいが扉の前に立つとその扉はスーッと左右に開いた。

同時にリグ、ロンズがそれぞれ前方に転がり込み、即座に銃を構えて警戒する。
「誰もいないな」
扉の奥は動力の制御盤らしきものが並んでいる。
いくつかの計器には数字が表示されている。
「ここは拠点ではなさそうだ。連絡手段も無いのにこいつらはなぜここにいる・・・。」
「もう一度下で通信機器をもってる者がいないか探すぞ。生存者でもいれば願ったりだが・・・。」

メンバーはそれぞれ1階のフロアに散在する死体をごろごろとひっくり返して回る。
「なさそうだな」
Risaが死体の脇を歩きながら
「そうね」
と同意しようとした瞬間、Risaの足首を不意に何者かがつかんだ。
「きゃあ!」
その声に反応し、近くにいたハマーンと天才がその方向に銃口を向ける。
「まって!」
Risaは瞬時に平静を取り戻し、手で二人の次の動作を制する。
「いきてるわ・・・・。」

腕と肩、わき腹に銃弾を受けた敵の兵士がRisaの足首をつかんだまま何かをしゃべっている。
「・・・何をしゃべってるのかわからないわね」
そういいながらRisaは足首の手を解き、周りにあった銃をやや遠くに放り投げる。
ついでその息をしている兵士の体のあちこちをまさぐりはじめた。
「手榴弾の類は無いわ。どうするマスター?」
「止血をしてやれ。捕虜として戻って通訳に任せよう。情報が取れるといいが・・・。」
いづいはそういいながらコミュータに向かって話しかける。
「アサルト選抜だ。捕虜がいる。こちらにこれるか?」
暫くの沈黙の後、いづいがメンバーに告げる。
「10分で迎えが来る。帰るぞ!。そいつも連れて行く。」

(初戦はスキルの確認ができたことが収穫か)
そう考えながらSPAWNは胸ポケットに手を伸ばし、タバコに火をつける。
「俺も」
そういうとハマーンがSPAWNのそばでタバコに火をつける。
「うまいな。一仕事後のこれは!」
うまそうに燻らせる。
タバコの煙がゆっくりと弧を描きながら上昇し、そして消えてゆく。
(死体に囲まれてもタバコが吸えるってのは感覚が軍人のまま、ということか)
ぼんやりとその煙の行方を見つめながらSPAWNは考えていた。

10分後、捕虜とチームを乗せたチヌークが”砦”を後にする。

いづいは眼下で硝煙にくすむ”砦”を見下ろしながら考え事をしていた。
(あれは砦とは言いがたい。しかしチームへのオーダには攻撃拠点とまで書かれていた。
どういうことだ?。あれでは俺たちのしたことは虐殺に近い・・・・。)

チヌークがデッキにたどり着くと、整備兵が走りよってくる。
いづいは真っ先に降りると整備兵に話しかけ、整備兵の一人はうなづくと奥に走りこんだ。
やがて医療班がチヌークに走りよってくる。
「腕と肩、わき腹に被弾、止血は応急的にしたけど・・・。頼むわね!」
Risaが医療班に状況を伝える。
捕虜となった男はいづいを見ながらまた何語かで訴えかけるようにしゃべっている。
「大丈夫だ、お前は医療班で治療を受けられる。お前はジュネーブ条約によって保護されるんだ、心配するな!」
いづいはそう男に告げたが男はまだ何か話そうとしている。

男とのやり取りの最中、作戦司令部の部屋から男が一人出てきてチヌークに近づいた。
「ご苦労」
敬礼をしてチームを迎えたが、その敬礼はどこかぎこちない。
「ウラル国、国防省筆頭文官のガヤルドだ」
長身の男はそう自己紹介をした。それを見ていづいも敬礼で返す。

ガヤルドは敬礼をとくとストレッチャーに乗せられる男を見ながらいづいにたずねる。
「あれは・・・・なんだね。」
「今回の作戦の捕虜だ。」
ガヤルドはいづいのほうに振り返ってさらに質問を続ける。
(なんていやな目をしてやがる・・・)
いづいは振り返ったガヤルドの目を見て思った。

捕虜を見る目はまるで人間ではないようなものを見る目、そしていづいに向けられた視線は
蔑みを含んだものだった。
「なぜつれてきたのかね・・・・。」
「我々に展開された情報と異なる点がある。敵側の情報を聞きだして整合をとるためだ。」
「ほう・・・。」
「捕虜が何かしゃべっているが俺たちには理解できない、通訳を・・・おい!」
いづいがしゃべっている間にガヤルドはそのストレッチャーに向かって歩き出していた。

ガヤルドがストレッチャーに近づくと捕虜の男は取り乱したように声を上げた。
ストレッチャーから落ちんばかりに手足をばたつかせる。

(まずい!)

その様子を見ていたSPAWNはいやな予感がしてそのストレッチャーに向かって走り始めた。

「パンッ!」
すばやく銃を貫いたガヤルドは男の眉間に向かって発砲した。
乾いた銃声がデッキに響く。
ストレッチャーの上にいた男は大きく伸び上がって地面に倒れ伏す。

「何をする!!!」

いづいが走りよってガヤルドの胸倉をつかむ。

「離し給え・・・。君らは立場がわかっていない様だな・・・」
いづいの剣幕にも動じないでガヤルドは見下ろすようにしていづいを睨み返す。
「捕虜は条約によって保護されるはずだ!。なぜ撃った!」

「貴様ら傭兵はあくまでも正規軍の補填・・・・。我々の判断に逆らうのは契約違反ではないのかね・・・。」
「クッ!!」
いづいは睨み返したまま動かない。

ガヤルドは冷徹な視線をいづい、そしてチームに向けるとニタリと笑って続ける。

「せいぜい稼ぎたまえ。そのために来たのだろう。余計なことに首を突っ込むと稼ぎを失うことになるぞ・・・・・。」

The Past 完

Suspicionに続く