• 2023年10月10日にMeta Quest 3が発売

現在VRヘッドセットのシェア8割を占めるというもっともメジャーなMeta(旧Oculus)から、最新機種Meta Quest 3が販売されたことで、一躍話題になっていますね!価格は74800円。前機種のMeta Quest 2を発売以来3年間使ってきた身として、そのレビューを兼ねて、Meta Quest 3は買いかどうか、考えてみたいと思います。
  • Meta Quest 2と3の違い

まずMeta Quest 3とMeta Quest 2との最大の違いは、パススルーがカラーになったことです。パススルーとは、ヘッドセットを通してみる現実の世界の映像のことです。これがカラーになったことで、現実の世界の映像にCGの映像を重ね合わせる、いわゆるAR(拡張現実)が可能になったということです(このようにVRとARが両方可能な機種のことを新たにMR=複合現実と呼ぶそうです)。このARが追加になったことは後で少し話すとしますが、それ以外においては各種スペックが向上したグレードアップ版というところで、多少の画質の向上した程度で、基本的に出来ることはあまり変わりはありません。なのでまずMeta Quest 2のレビューから入りましょう。
(こちらの画像はMeta Quest 2。比較するとパススルー用のカメラが大きくなったのと、コントローラーがのカバーが無くなっている)
 
  • Meta Quest 2を使ってみて。オススメのソフト

Meta QuestはやはりVRということで、これまでの二次元の画面には無かった特別な体験がたくさんありました。実際にプレイしてみてオススメだったタイトルを交えて紹介していきましょう。
 
Meta Quest 2で人気のタイトルというと、まずはBeat Saberでしょう。
音楽に合わせて飛んでくるボックスをライトセーバーのようなもので切るというゲームで、いわゆる音ゲーです。ただ、普通の音ゲーと違って切るという感覚が何とも言えない新体験で、非常に面白いです。体も動かすので、自然とダンスできているような感じでもありますし、ライトセーバーを自在に扱っている自分がカッコよくなったような気分も味わえます。(傍から見たらただの挙動不審なんですが)
 
それからBio Hazard 4
これも他機種で遊びつくしたゲームではありますが、やはりVRでプレイしてみると全く感覚が違います。当然ながら銃を射つ感覚というのは普通のコントローラーでは味わえないものですが、銃をリロードする感覚というのも特に新鮮でした。敵が目前に迫っていると焦ってリロードを失敗することもあって、そこにまたリアリティが感じられました。チェーンソーで切られるのも、二次元画面のVRではまた恐怖感が違います。もともと名作ではありますが、VRで改めてプレイして良かったタイトルです。
 
そしてVRというと外せないのはHalf Life Alyxでしょう。
SFの世界観で宇宙人を相手にしたFPSゲームですが、VRゲームの傑作として名高いです。ステージ途中になぞ解きを挟んでいくスタイルで、Biohazard4に良く似ています。こちらはMeta Quest 2のスタンドアローンではプレイできませんが、Meta Quest LinkでPCと接続することでプレイできます。Biohazard4と似てはいるもの、Half Life Alyxは始めからVR専用に設計されているゲームなので、全てのVR体験が非常に洗練されており、文字通りゲームの世界が現実となったかのような体験ができます。エイリアン系のグロテスクなところもある世界観なのですが、気持ち悪いところを通るとなんだか臭いまでしてきそうなほど、没入感があります。アイテムを取得するための念動力もとても病みつきになる体験でした。パズルの部分も全てVRを活用していてユニークですし、ゲームとしても優れていて普通に二次元の画面でプレイしても十分に面白いと思います。
 
他にもSuperhot VRも、画像はカクカクしたチープなポリゴンではありますが、マトリックスを体験できるようなソフトになっており、プレイする価値ありです。
 
 
  • Meta Quest の問題点

さて、ここまでは良かったところを書きましたが、Meta Quest 2には問題点も多いです。最大の問題点は、上記タイトルを見てもらえると気が付くかもしれませんが、いずれも古いタイトルです。3年前にMeta Quest 2が出たときと、今回Meta Quest 3が出たタイミングで、発売タイトル数自体は増えているものの、おススメゲームの顔ぶれがあまり変わっていないのです。Biohazard 4に至ってはもともと2005年にPlaystation2で発売されたゲームですからね。こんな古いゲームがどのサイトを見てもおススメタイトルの一角を占めているということから、いかにゲーム開発が鈍いかをお察しいただけるかと。それにメジャーなゲームメーカーのほとんどがMeta Quest のゲーム開発には参入してくれていません。カプコンもBio Hazard 5以降はMeta Questのストアでは販売してくれませんし。確かに上記タイトルはいずれも魅力的でVRならではの新しい体験ができますが、ただ上記タイトルのためだけに高額なVRヘッドセットを買う価値があるかと言われると、ちょっと微妙なところです。Bio Hazard 4はストーリーは分かり切っていますし、Half Life Alyxも1本道のゲームで何週もプレイできるような要素はありません。Beat Saberも余程音ゲーが好きなら別ですが、日本人に馴染みのある曲がないので、いずれのソフトも一通り体験してみると飽きるのも早いかもしれません。
 
 
Meta Quest 3になってARができるようになると、すごい評価が変わるかというと、難しいように思います。結局ARができるようになっても、それを活かすゲーム次第ですが、上述したようにゲームの開発スピードを考えるとあまり期待できなさそうです。
 
また細かい点かもしれませんが、Meta Questはバッテリーが2時間程度しか持ちません。一人で使って毎日充電していれば問題ありませんが、他の人も順番で使いたいとか、うっかり充電し忘れたりすると、すぐにバッテリーがなくなってしまいます。これはMeta Quest 3になっても改善されていません。
  • そもそもVRヘッドセット自体の問題点

またそもそもVRそのものの問題として、完全にお一人様専用です。一般的な据え置き機と違って、遊びに来た友達と一緒にプレイするということもできませんし、家族のいるリビングでプレイすることもできません(動き回るのでぶつかる可能性が高い)。さらにスペースも必要で、最低でも2m × 2mの広さが必要です。これはメーカー推奨の広さでもありますが、実際にプレイしてみると、やはり最低でもそれくらいはないとプレイに支障が出たり没入感が損なわれます(指定した範囲から出そうになると、警告の表示が出てくるため)。できれば2.5m × 2.5m欲しい所です。日本の住宅事情を考えると、完全にゲームのためだけにそれだけのスペースを確保するというのは、なかなか厳しいのではないでしょうか。

 

地味ながら、長時間使用しているとヘッドセットの重さで首が痛くなる、ヘッドセットの固定のせいで髪型が乱れる、なども欠点です。特に首が痛くなるのは問題で、VRヘッドセットを仮想ディスプレイとして使用して、映画鑑賞をしたり、PC作業をしようと思っている方がいれば、考え直した方が良いと思います。ヘッドセットの重さが気になって鑑賞や作業に集中できないと思います。

 
  • まとめ:買うのもありだけど、値段に見合うかは微妙

VRヘッドセットを持っていない人の場合は、Meta Quest 3はありかもしれません。間違いなく、新しい感動的な体験があなたを待っているでしょう。ただし74800円に見合う価値があるかと言われると、微妙なところです。最初は間違いなく感動できると思いますが、では1年も2年も毎日プレイしたくなるかと言われると、私はそうは思いません。最初の2-3ヵ月で感動が薄れてくると、魅力的なタイトルの少なさ、一つ一つのタイトルの小粒感、プレイするときのハードルの高さ(部屋を片付けたり)などが気になって、お蔵入りしてしまう可能性も高いと思います。安くなったMeta Quest 2なら47300円程度で買えるようですから、こちら買うのも十分選択肢かと思います。あるいは飽きたらすぐにメルカリ等で売ってしまうつもりならMeta Quest 3も良いでしょう、直ぐには値崩れしないと思いますし。