このレンズは軽いクモリがあり、あまり良くないコンディションだったので山崎光学写真レンズ研究所に再研磨をお願いした。その際山崎さんにいくつかのお願いをした。
①まず研磨を最低限にしてもらうこと。今回は外観の再建が目的ではなくあくまでも薄クモリの除去が目的だったのでコーティング層を削りきるかどうかのギリギリの部分で研磨をしていただいた。狙い通りコーティング層より深い傷はなかったため表面はかなりきれいに仕上がった。
②描写性能に関係ない面の研磨をしないようにお願いした。多少の汚れやコーティングむらはそのまま残してもらったのだ。これも一つ目の項目と同じ目的で実用主点での依頼であった。
③研磨面の再コーティングをしないことをお願いした。これは個人的な興味であったがコーティングなしの発展型エルノスターがどういう写りをするか見てみたかったのだ。もちろん戦前型のノンコート型プリモプランを入手すれば検証可能であるがそれはかなり困難なため、あえてノンコートでの仕上げをお願いした。もちろんこのレンズがもともと完品であれば無駄に手を入れることは心が痛むところなのであるが、もともとのコンディションに免じて許していただきたい。
山崎さん曰く光学設計の許容範囲での研磨であるがやはり研磨量は最低限に抑えたほうが良いと思い、ガラスの表面に多少粗を残してでもオリジナルの描写を維持したかった。
そしてその後レンズが仕上がったとのご報告をいただいた。この頃はちょうどMOOK本の編集の真っ最中だったのですぐにはお伺いできなかったがようやく年末になってお伺いすることができた。
仕上がりは文句なし。非常に美しくそしてばっちりノンコートであった!!
レンズ後群にカビの除去跡とコーティングの研磨残りがあるが、描写には問題なく注文どおりだ。
プリモプランはエルノスターがそのまま進化して一眼レフ対応したらどうなるという『If』を体現したレンズである。
このレンズはエルノスターがゾナーに進化する過程で獲得した『収差を逆収差で打ち消す』いわゆる「STOP面」を持たないレンズである。そのため正のパワー過多の超攻撃的なエルノスターの性格をそのまま引き継いでいる。中心部の調和とは裏腹に周辺部に抱えた破綻、それこそがこのレンズの持つ魅力なのだ。
ほろほろと崩れていくような描写は一度取り憑かれると病み付きになる。
メイヤー伝統のバブルボケ!狙い通りレンズの芯は健在だ。良かった!!しかもノンコートなのに抜群のコントラストと発色だ。
バブルツリー。同じメイヤー系のトリプレットレンズ群に比べて線の細い上品な描写だ。
周辺部の崩壊が幻想的な風景を作り出す。
プリモプランガウスやゾナーではこうはいかない。
こういう描写はノンコートらしい。
艶のある写りだ。
山崎さんのおかげで本当に魅力的なレンズになりました。
新しい相棒が一本増えました!!
最近の人気のメイヤーレンズの中でもプリモプランは別格だと個人的には思います。
本当にいいレンズです。




















































































