469.フィリピンの時の流に身をまかせ.9 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
いよいよ今日は日本に帰る、下痢はブラカンのティタの薬が効いたのか快方に向かいつつあった、腰も隣のアテのマッサージの後に嘔吐したが吐き気が収まると同時に毒気が引いたように急回復した、虫刺されだけは簡単に治らないままだ、フィリピンに来る時もそうだが帰る時も何故か淡々とした自分がいる、飛行機のフライトが早いのでジョイに4時に起こされた、下に降りて行くと朝早いのにママと女マイク.タイソンの従姉のアン、リアム、そしてワタクシの親友のジャスティンとビーバー、ジャスティンはいつもワタクシにアマイアマイをしてくる薄茶の猫、ビーバーは白黒で夜冷えてくるとワタクシの一緒に布団に潜り込んでくる猫で何故か二匹共にワタクシが帰るのが解っているのか皆と並んで一緒に名残惜しそうに見送ってくれている、そして母親との別れに悲しい顔をしている息子のリアムの頭をナゼて肩を抱いた後、皆に「アイ シャル リターン」と言って手を振って別れを告げた。


大通りには車が止まっていて中にマイケルが待っていた、ジョイの従姉の旦那で空港に迎えに来てくれた他ブラカンやイロコスまでの運転手をやりワタクシのペラは1万ペソ以上は彼の懐に入っている、上半身にはタトウが入っているが頭と計算はキッチリ出来る男だ、来た時は2時間半かかったが朝早いのですいており1時間少しで空港に到着した、マイケルに「アイル ビー バック」と挨拶して別れた、空港に入りチケットを交換しようとするとジョイが約1600ペソの旅行税を取られてしまった、確かに以前にどなたかの(たぶんMarkさん)ブログで拝見した記憶はあったがスッカリ忘れていた、当然空港使用料も日本でのチケット購入時に別で取られているのに「冗談じゃないよ~、フアック.ユー!」とダニの心臓のワタクシは心の中で叫びながら税関を通過した、更に荷物がエックス線チェックで引っ掛かってしまいお気に入りの鬼爪切りハサミを没収され更にコンタクトレンズの洗浄液まで注意されてしまった、「何だよ、何で没収なのよ、爪切りでハイジャックする馬鹿いるか~」空港に来て次から次の度重なるフィリピ
ン空港職員の仕打ちに腹が立って仕方がないワタクシとジョイはタバコを吸いに前の時からある喫茶室に行きコーチーを頼みアイパッドを広げる。


だが何と3週間分購入していたプリペイドカードのリミットが切れてしまったようで繋がらない、実質2週間と5日しか繋がらないということだろう、その頃年明けの日本の、いや世界の株式市場、為替市場、原油市場、商品先物市場などが大きく動き始めていた、フィリピンにいる間に30万円ほど利益を出したが前日ひょこっと買いを入れてしまい、この日の株式市場を見れなかったばかりに日本に帰って痛い目にあう事になってしまう、帰りの飛行機はジャンボ機で座席が広くホッとしたが念のために仕切りの足が投げ出せる場所に移動させてもらえるかスチュワーデスに聞いたが1400ペソ取られると言われ辞めたケチなワタクシ。


行きは腰痛でヨレヨレだったが帰りは腰痛が良くなり到着は予定より早く3時間50分で羽田空港に到着、トランクを受けとるのに30分待つ事となった、その間アイパッドの株価をチェックすると持ち株は大幅に下落していた、もちろん日経平均も下落していた、場が閉じる寸前だったので明日に期待してアイパッドをリュクサックに入れて出て来たトランクを押しながらジョイと二人でバスに乗り込んだ、一時間で地元の二俣川に到着し寿司と鶏肉など少し買い物をしタクシーで家に戻った。

3週間振りの日本で我が家だが感激が全くない、以前は海外から帰ればホッとするものがあったが、それは既に過去に感じたものであり今は何の感激もない、フィリピンに行く時も帰る時も感じるものがなくなった、慣れてしまったという程両国を行き来してるわけでもない、考えてみると日本にいる時もフィリピンにいる時もジョイと一緒にいる事が大きく影響しているのかもしれない、以前は好きな女性が待っていると思うと自然と心がウキウキとしたが今はジョイと常に一緒にいる事で心が落ち着いているのだろうか、今は日本だろうがフィリピンだろうが彼女が一緒にいれば何処の国で暮らそうが関係なくなってしまったのだろう、今のワタクシは彼女の為に生きていており、残りのおまけの人生は彼女と子供のリアム、そしてファミリーたちが平穏に暮らせる為に使っていこうと考えている、その為にフィリピンで暮らそうとしているに過ぎないということだ。


だが日本に帰って5日経ち株式市場は下落を続けていた、毎日が敗戦処理を続ける、下がったところで買ってリバウンドしたところで利食う、そしてマイナスの持ち株を損切りしていくの繰り返しを行うのだが今回は毎日やってもマイナスが減らない、それだけ根っこが深いということだろう、オイルの下落が止まるまでは株式市場も追従は避けられないかもしれないが「夜明け前が一番暗い」という格言通りなら、もう少しで一度は底を打つかもしれない、だが為替は円高なのでフィリピンへの送金には絶好のチャンスとなっている、ワタクシは「明日銀行に行くか?」とジョイに尋ねた、フィリピンに行った時に新たに開いた彼女名義の口座を東京の支店に追加しなければならない、それが完了して初めてネットバンキングでフィリピンにいても日本の銀行からフィリピンの銀行に資金移動が可能になる、だが彼女の心は揺れているようだった。


「フィリピンには何れ帰りたい、だが今ではないのでは」というのが彼女の考えで有りワタクシ自身も準備も含め「2年先位がちょうどいい」と感じていた、しかし母親が亡くなり状況は変わった、準備は完璧ではないが資金的な問題を含め今行くべきだと感じていた、もし今のチャンスを逃すと毎日の生活に流されたり身体的にも行けなくなってしまうかもしれない、もちろん知らない国に行き現地の人たちにもまれながら生きていこうというのだから簡単ではないだろう、「それ見たこと事か」とオメオメとフィリピンから逃げ出し日本に帰る事になるかもしれない、だがチャレンジしないで朽ち果ててしまうのは過去ギリギリの中で生きてきたワタクシの精神が許してくれない、平坦に生きるのは楽だが敢えて苦労の中で生きていくのは難しい、多くの人は平坦の中に生きたがる、むろんワタクシもその1人だが苦労も普通にしてしまえば平坦になってしまう、そう思い今まで生きてきて何度もピンチを乗り越えてきた、フィリピンでの大変な事はいつの間にか普通の出来事に出来る気がする。


だが一番苦労をかけてしまうのはジョイだろう、この日ジョイが突然食って掛かってきた、

ジョイ「あなたはどうしてフィリピンで暮らしたいの?あなたのお金はファミリーに取られて直ぐ無くなっちゃうよ!」


珍しく声を少しだけあらげたジョイ、フィリピンにいる間はお金の事はジョイに任せた、母親から兄、妹、親類、友人と言われるのは金の事ばかりで彼女はワタクシとファミリーの間に立つ事に疲れていたのだ、この日も年子の兄から「金をくれ」とメールが入り憤懣が爆発してしまったのだ、ファミリーの中には色々問題は有るが一番の悩みの種がこの兄だ、以前はファーストフード店で働いていたらしいが前妻に逃げられ心が折れ33歳の若さだがドラッグに溺れそれ以降働こうとしない、ワタクシがフィリピンにいる時は明るく振る舞っていて何も起きなかったがジョイは怯えていた。


ワタクシはジョイの心変わりに一瞬戸惑ったがジョイあってのフィリピンへの移住であり彼女の為の移住だと思っていたので彼女が反対するならば残念だが承服するしかない、こうしてワタクシのフィリピンへの移住計画は呆気なく幕を閉じる事となってしまったのだった。





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ジョイがキレてから2日後の事だった..........。