392.サイレントナイト.3 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
エンジェル「ワタシノコト スキナノ?」


大山「もちろん、好きなタイプだよ、それに...」

エンジェル「ソレニ...?」


大山「エンジェルはうちの母親に性格がよく似てるところが気にいったんだよ」


エンジェル「アナタノ オカアサンニ ニテルノ ワタシ?」


大山「うん、性格がね、僕が今まで結婚しなかったのもずっとエンジェルのような性格の人を探し求めてたからかもしれない」


エンジェル「ソウナノ、ワタシガ オカアサンニネ」
しかし、大山は知らな過ぎた、エンジェルの性格はフィリピーナのごく当たり前の性格なのだ、そして、自分の事を好意を持っているとアッサリと信じてしまい、たった二回会っただけでまさかのプロポーズ、一番面食らったのはエンジェルだった。


頭が混乱するエンジェル、母親が病気という自分の言う事を疑う事もなく百万円を出してくれて尚且つ結婚もしてくれる、ひょっとしたらフィリピンにいるファミリーの事も頼めば面倒をみてくれるかもしれない、見た目もスラリと長身で顔も男らしくいい顔をしているし38歳の大山は歳よりはずっと若く見える、エンジェルに取っては夢のような話しだ、しかし、だからこそ混乱した。


エンジェルの母親は確かに病気で家で寝たきりだったが、実はガンか何か病名は解らなかった、それは何故か、病院で検査や治療、薬代がなかったからだ、大山に話したのは何気なくだった、百万円と言ったのは同情して何万円かでもくれれば有り難いと心のスミに思って言っただけで悪気わなかった。


1980年代中頃なら百万円はフィリピンの貨幣価値からいくと現在ニ百万円以上の価値はあっただろうか(USドルで250円位の時代)、それをポンと出してくれようというのだからエンジェルの心は大きく動いて当たり前だ、しかし大きな問題があった、それは旦那がフィリピンにいる事だった、そして子供が二人いたのだ、ただし役所に結婚届けを出していないので日本人との結婚は出来る、大山と結婚した場合、日本とフィリピンの両方の旦那に嘘をつき続けなければならない事になるかもしれない。


こうなると大山を愛してる愛してないだけではなく、自分や自分たちのファミリーの事を考えると大山のプロポーズを受けるのがベストの選択に思えた、3度目の日本のエンジェルだがまた日本に必ずこれるという保証はない、こんないい話は二度とないかもしれない、将来はともかく「今が良ければ全てよし」と楽天的な考え方を全面的に打ち出し大山のプロポーズを受けたエンジェル。


さて、そうなると噂はあっという間に広がる、1週間後店内は当然、店に来ている客たちも知る事となる、何しろエンジェル本人が喋りまくっているのだから当たり前なのだが、いきなりこの店のシンデレラになってしまったかのように調子に乗ってしまったのかもしれない、話は大山をこの店に連れて来た杉田社長の耳に入り大山を居酒屋に呼び出した。


杉田社長「大山さん、エンジェルと結婚するって聞いたんだけど」


大山「ハハ、そうなんですよ、僕も38ですから、そろそろ身を固めようと思いましてね」


杉田社長「いや、本当なのか、でも余りに速すぎない、エンジェルの事を何も知らないんだろう、」


大山「ええ、確かに、速いかもしれませんが、会った瞬間にビビっと来るものがあったのかもしれません、それにワザワザ杉田社長に番号聞いて電話くれたのが何となく嬉しくて」
杉田社長は「いや、それは彼女たちの仕事だから」という言葉を杉田は飲み込んだ、今は熱くなっている何を言っても無駄かもしれない、むしろ人種に偏見を持っていた大山が少し変わってくれた事のほうが嬉しく感じた。


そして、時は移り13年の月日が流れ大山は51歳になっていた、錦糸町の路上に立っていた彼はある男を見掛けて声を掛けた、
大山「レイスリーちゃん!!」



次回に続きます、いつもご訪問頂きまして誠に有り難う御座います。