393.サイレント.ナイト.4 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
大山「レイスリーちゃ~ん!!」


ワタクシ「おっ、大山さん、どうですか今日は?」


大山「駄目だね~、景気悪すぎだよ、人通りが無いものねー、あれレイスリーちゃん行ってきたのフィリピンパブ、と、言うことはパチンコ勝ったね、じゃあ、カレーライスご馳走してよ~」


ワタクシ「ハハ、いいですよ、そこの喫茶店行きましょう、そうだ、この間の話の続き聞かせて下さいよ」


大山「えっ、フィリピーナと結婚した後の話、お恥ずかしい限りの話なんだけどなあ~」


ワタクシ「いいじゃないですか、人の不幸な話は面白いですからねー」


大山「何言っちゃってるの~、楽しんじゃってー」
この時かつてのエリートサラリーマンだった大山さんは国際クラブの客引きをやっていた、二人は笑いながら喫茶店に入り、カレーライスとコーヒーを二つずつ注文した。

大山さんはカレーライスを食べながら話を始めた、エンジェルと結婚を決めたものの周りはフィリピーナとの人たちは皆が大反対だったそうだ、当時の日本人たちは現代のオジサンやオバサンよりも人種や色に対して更に厳しい人ばかりだった、戦中派の時代の人が多く、日本人民族は優秀で戦争中も日本軍がアジア地域を占領ではなく解放したと教育を受けた時代の人たちだ、更に戦後は日本の経済成長で得た金で「後進国を助けてやっただろう」と見下した見方をしている人達がたくさんいた時代だったのです。


親、兄弟、友人、仕事の仲間から猛反対にあった末にフィリピンに行き結婚の手続きをした大山さん、エンジェルの家に行った時に旦那を兄だと紹介され、寄り添う二人の男の子は兄の子供で母親は出て行き、子供たちはエンジェルを母親代わりだと思っている、「だからワタシの事をママと呼ぶの」と言ったそうだ。

エンジェルは1年に一回は必ずフィリピンに里帰りし3週間は日本に帰って来なかった、そして結婚して3年後に二人の間に子供が出来た、エンジェルはフィリピンで生む事を希望して大山さんも了承し女の子が誕生した、大山さんも何度か渡比しその間に貯金で家も建てた、エンジェルは約2年して子どもを連れて日本に戻って来た。


女の子の名前はミリイ(美里依)と名付けられ大山さんは可愛がったそうです、大山の収入が良かったのでフィリピンに仕送りしながらでもエンジェルは専業主婦としてやっていけた、しかし、ミリイが幼稚園に通い始めたのが転機となったのでした、ミリイはハーフと言うには色が黒く、同じ園児たちに「ミリイちゃんはどうして色が黒いの?」と言われた、日本に来て1年だったので日本語がたどたどしく言い返す事も出来なかったミリイ、そして幼稚園でポツリと1人でいる事が多くなった。


エンジェルも日本に来て以来、大山さん以外の日本人と話す事がなかったのだがミリイが幼稚園に入った事で幼児たちの母親たちと嫌でも接しなければならなくなった、だがフィリピン人という事で母親たちには相手にされず孤独感を深めてしまった、もちろん大山さんも時間のある限りは幼稚園の行事に顔を出したが仕事が忙しく二人に目がいき届かなかったのも事実だった。


家の近所に同じフィリピン人の友達が居ればエンジェルも気晴らしが出来たかもしれないが、周りには誰も居なかった、そして時を重ねるに連れて明るかった彼女は暗い性格に変わっていってしまったのだった、そして買い物以外は外に出なくなった。


ある日、仕事から帰って来た大山さんにエンジェルから「ハナシ アル」と切り出してきた、
大山さん「何、どうしたの?」


エンジェル「ワタシト ミリイワ フィリピン カエルカラ」
突然のエンジェルの申し出に戸惑う大山さんだった。



次回に続きます、いつもご訪問くださいまして心より御礼申し上げます。