221.真夏の街.22 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
そもそもが気持ちのないまま渡比したのが間違いでした、ピンキーから始まり代打のヘレンに空振り三振、歯車が次々に狂っていく、さらにケロ子とは....、ま、まあ、ケロ子は置いといて、そしてこの日、泣くに泣けない事があったのでした。



遂に見つけたワタクシのタイプ、ワタクシはジョンにこの店のシステムを聞きます、どうやら女の子を選びお話をしてから女の子がオーケーすれば連れ出し出来る、但し、一緒にホテルに行くかどうかも女の子との交渉次第らしいのです、システムの話を聞いて「成る程」と合図地をうった時でした、眼鏡をかけた背の低い、韓国人、或いは中国人らしい男がワタクシのお気に入りに声をかけ個室に入って行ってしまったのです。


あまりの間の悪さにワタクシは唖然とするだけです、そして耳鳴りが「ゲロゲロ、ゲロゲロ、ゲロゲロ」と頭の中で聞こえるのです、「や、や、やっぱり今日もケロ子か~っ」いやいや、今日こそは思い出に何としてでもマガンダなババエを連れて帰りたいという思いが別の娘を指名する事になってしまったのです。


「その娘」とジョンに告げました、まあ、そこそこ可愛い女性なのですが、あまりワタクシのタイプではありませんでした、しかし、ここで連れてでなければケロ子を呼ぶ羽目になるかもしれません、ジョンがタカログ語で説得しているようです、この娘はアップルといい以前に日本にタレントで来たことがあり日本語も達者でした、多分ジョンはこの娘に「この人は社長でお金持ちだから一緒に行った方がいいよ」と言ったに違いありません。


ワタクシもタイプの娘は諦めて、「この娘にするか」と決めました、ジョンと友人も帰りたそうな雰囲気があり、チェックを入れアップルがバックを取りに行った時でした、先ほどのワタクシのお気に入りが個室から出てきたのです、それも韓国人ぽい男性とは交渉決裂したらしいのです。


「し、しまった~」僅かなのタイミングのズレで大魚を逃がした漁師のようにワタクシはガックリとします、今のワタクシなら問題なく即座に「チェーンジ」というでしょうが、この時は初フィリピンデビューのうぶで恥ずかしがりやでハニカミやのワタクシです、アップルが戻って来てワタクシの腕に絡み付きジョンを先頭に店の外に出ました。


後ろ髪を引かれるとはこの事でしょう、一度でも話していれば諦めがついたかもしれない、いや逆にどうしても連れて行きたくなったくなったかもしれません、やっと見つけたタイプにチャレンジする事も出来ずに去らなければならなかったワタクシでした。


そしてタクシーでジョンがホテルまでワタクシたち二人を送ってくれました、ワタクシはジョンにお礼の気持ちでお金を渡そうとしましたが、ジョンは「シャチョウ ワ アコノ トモダチダカラネ、キモチダケ モラウヨ」と言って受け取りませんでした、ジョンは錦糸町で夜は小さなフィリピンパブの客引きをやっており、昼はモーターサイクルの中古部品を集めフィリピンに輸出しているがんばり屋です、ワタクシとは店の下で3.4度あっただけでしたが、話方も内容もスマートなものでした、彼は裕福ではないがプライドを持っていました、フィリピンにもこういう男はいるのです、日本に帰った後ワタクシは彼と親交を深める事になります。


ホテルの部屋に入ったワタクシとアップル、やはりタイプでなかっただけにワタクシは気分的に盛り上がりませんでした、事が終わった後も最後にチップだと一万円渡したのですが、「コレダケ」と言われたのがカチンときて、さっさと帰したワタクシです、こんなことならケロ子に電話した方が100倍ましでした、そして初渡比最後の夜は過ぎ去ったのでした。


次回に続きます、いつも御愛読頂きまして、心より感謝いたします。