198.真夏の街.2 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
フィリピンパブ、当時の錦糸町には60.70軒もあったでしょうか、世の中の景気は悪化が続いていたもののフィリピンパブはまだ健在でした、いや景気が悪い為に風俗店がまだ客のいるフィリピンパブに変わっていき、フィリピンパブ同士が客の取り合いをやっていた時代と言うべきかもしれません。



ワタクシと梅津君は、あるフィリピンパブの前に立っていました、
梅津君「レイスリーさん、取り敢えず入ってみますか?」


ワタクシ「そうだなー、入ってみるかね」
今一つ気乗りしないワタクシでしたが夕子を少しでも忘れたく、そして気をまぎらわせたいという気持ちで梅津君と店に入っていきました、外見はキラビヤカで中に入ると意外とさっぱりとした感じのいい店でタレントはおらずアルバイトだけで構成されていました、女性は20人ほどでワタクシたちが座席に座ると1人はミニスカート、1人はパンタロンの女性がやって来ました
ワタクシ「あれ、雪子に似てる」


梅津君「あっ、本当だ」ワタクシに握手を求めて来たのはショートカットの似合うティナと言う名の女の子でした、ニキビが少しあり、風貌は雪子によく似ていましたが性格はまるで違っていました、明るい中に落ち着いた感じのティナ、フィリピーナらしく歌が好きでデュエットをし明るい笑顔を見せるもののワタクシの心は全く動きませんでした、ただ一緒にいると夕子の事は忘れられる、それだけの事でした。

ワタクシと梅津君はそれぞれ名刺をもらいワンセットで引き上げました、
梅津君「どうですか、フィリピンパブは?」


ワタクシ「うーん、今一かなー」


梅津君「そうですか、今一ですか、心の傷は深そうですねー」
自分では意識しなくても夕子のとの事が未練となり楽しめなかったのか、それともフィリピン人とタイ人と比べてしまい物足りなさを感じたのか、ワタクシは当時なかなかフィリピンパブに馴染めないものがありました。

梅津君「レイスリーさん、もう一軒付き合ってもらってもいいですかねー」


ワタクシ「別にいいけど、またフィリピンパブか?」


梅津君「そうなんですよ、彼女の店なんですが」

ワタクシ「彼女ー、相変わらずだねー、いいよ、行ってみようよ」
梅津君の先導で次のフィリピンパブに行くのですが、これが超満員の店なのでした、実はこの店はフィリピンパブを5.6件持っているグループの経営する店で始めに行った店とは姉妹店なのです、錦糸町では歴史を誇るアルバイトの店として現在も続いていた店なのですが、先日ワタクシも知っていたスタッフが偽装結婚を斡旋したとして逮捕され偽装結婚したフィリピーナ3人と男3人が逮捕されました。


偽装結婚、勿論これは犯罪なので肯定は出来ません、しかし日本で働いている多くのフィリピーナたちが日本人主導の偽装結婚で日本で働いている現実があります、多くのフィリピーナたちは日本で働く為に間に入った人たちに搾取され、偽装結婚し薄い賃金を得てその中から家族の為に仕送りをしているのです、度々今回のように偽装結婚でブローカーやフィリピーナたちが捕まっていますが、今回の摘発は当局の警告のような気がワタクシはしています、フィリピンパブに過去タレントがいなくなった時のように偽装結婚したフィリピーナもいなくなる可能性も有るかもしれません。

話は元にもどり、狭い席に押し込められたワタクシたちのもとに梅津君の彼女のローズというフィリピーナがやって来ました、グラマラスでいかにもフィリピーナといった風貌のローズ、顔立ちもスペイン系した、例によって梅津君は甘い時を過ごしご満悦なのですが、しかし何故かワタクシはいたたまれずに先に店を出ました、以前なら楽しくワイワイやったのでしょうがワタクシの中で明らかに何かが変わっていました。


ワタクシの心の中に女性を信じられない何かが芽生えたのか、それともフィリピーナに嫌悪感をもったのか、夕子への失恋の傷が癒えないのか、自分自身でも解らない何かが胸の中で渦巻いていました、そしてワタクシは暗闇の道路を1人自転車で浅草のアパートまで帰って行くのでした。



次回に続きます、いつもご訪問誠に誠に有り難うございます。