197.真夏の街.1 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ワタクシと夕子のアパートを出て3週間が経っていました、精神的に少し落ち着き始めていたワタクシは久しぶりにパチンコ屋に向かいました、夕子のアパートから歩いて5分の場所です、夕子がパチンコを辞めてなければ顔を見せる事は予想していました。


山本さん「レイスリーちゃん、久しぶりだね」
以前は皆に恐れられたコワモテの山本さんもスッカリ常連に溶け込んでいました、
ネリー「オマエ ドウシテタノ?」
時々、ワタクシをお前呼ばわりするブスのフィリピーナのネリー
沢野のお母さん「あら、レイスリーさん元気でよかったねー」
いつもネリーとワタクシが「お母さん」と呼んでいた沢野ご夫妻の奥さん、その他にも10人位の常連の人がワタクシに次々に声をかけてくれます。

パチンコ屋で知り合っただけなのに皆が実に温かい人達でした、そして何故かワタクシには優しく接してくれる人達なのでした、この時、皆ワタクシと夕子が別れたのを知っていました、ワタクシが来ない間に夕子は新しい男と一緒にパチンコをしに来たらしいのですが、それで夕子は常連達の間ではスッカリ悪女扱いになっていました。


常連達はよく見ています、ワタクシと夕子がお金の関係で別れたのだろう、そしてワタクシが夕子がパチンコで負けるとお金をいつも渡していたのも見て知っていました、「それなのにスグ他の男とパチンコに現れるなんて」とワタクシに同情してくれました、そして夕子は現れたのでした。


そしてワタクシの顔を見ると怖い顔をして
「アナタ ドウシテ ココニイルノ ズウズウシイネ」
これを聞いてワタクシは唖然として女は怖いもんだと思いました、実は一週間前に夕子は自分から電話をしてきてワタクシのいるアパートに来て関係を持っていたのです、ワタクシはこの時からしばらく女性は怖いという恐怖症になり女性と付き合う事が出来なくなってしまったのでした。


ワタクシ「何言ってるの、この店はお前の店か?文句あるならお前が帰れよ!」
ワタクシの反撃に夕子は何も言えず、悔しげに自分の好きな機種のパチンコを始めました、常連達も口には出さないものの「そうだ、そうだ」の顔つきです、そして一時間後、夕子の新しい男が現れたのでした。


その男はワタクシが夕子の以前の恋人などと勿論知りません、夕子は男に愛想笑いをしていました、周りの常連達は見て見ない振りでパチンコを打っています、ワタクシも完全に二人を無視です、しかしワタクシは夕子がその男に愛想笑いする自分を見られたくなかったのではないか、その為ワタクシにこのパチンコ屋に来てほしくなかったのではないか、だから怒って冷たい言葉を投げ掛けたのだろうと考えていました、女心は実に微妙なものです。


男は夕子と一緒に引き上げて行きました、いつものように数万円負けていました、ワタクシは数万円勝ち帰りに自転車を購入し途中で500円のステーキを食べ浅草の今戸に引き上げました、アパートに引き上げしばらくして梅津君から電話です。


梅津君「レイスリーさん、生きてますか?」


ワタクシ「馬鹿言ってんじゃないよー、死ぬわけないだろー、何だよ」


梅津君「いやー、ちょっと心配で電話しちゃいましたよー」


ワタクシ「余計な心配だよ」
この時ワタクシにとって梅津君の心配りが涙が出るほど嬉しいものでした、いや実際に電話を切った後に涙しました、落ち目になっても持つべきものは友でした、ワタクシが財産を無くした事で、ある仕事先の人は手のひらを返したような態度を取る人もいました、この頃ワタクシは夕子やパチンコ屋の常連も含め人の心にある冷たい部分と温かい部分を交互に味わっていた時期でもありました。


梅津君はワタクシを元気付けようとご馳走すると言ってくれ錦糸町で会う事に、ワタクシは彼の誘いに乗り再び自転車で錦糸町までやって来ました、そこで彼が入ろうと言ったのが派手なネオンの一軒のフィリピンパブなのでした。



次回に続きます、いつもご訪問頂きまして誠に誠に有り難うございます。