186.ハルの微笑み.129 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ワタクシは夜中の品川にいました、雪がチラつく中を道路で誘導棒を振っていました、昼はパチンコをし夜は誘導警備員をアルバイトを始めたのでした。



何の為、もちろんお金がいるからなのです、この日は軍手を忘れて指先が凍るかと思うくらいの寒い日でした、ワタクシはまだ夕子とやっていけると思っていました、だからアルバイトも始めたのです、夕子はワタクシをお金を助けてくれないと責めていました、ワタクシはまとめては渡せないものの彼女がパチンコで負ければ毎日のように数万円づつ渡していた、1ヶ月でトータル20万位は渡していたはずです、しかし同じ金額でも少しずつ貰うのとまとめて貰うではが助けてもらうというのでは感覚が違ってしまうようでした、そしてワタクシとその感覚のズレで毎日のように揉めるようになりました、彼女にパチンコを覚えさせなければ二人はそれほどにお金で揉める事はなかったかもしれません、、しかし、ワタクシと別れる事を決断した彼女に何を言っても無駄でした。


ワタクシと付き合う時にお金の面倒はかけないと言い、ワタクシと暮らす為に手首を切った夕子はもう存在しませんでした、彼女に取ってはワタクシへの愛よりタイに20万送る事が最優先となり、その為にワタクシは邪魔な存在となったのです、そしてワタクシの知らないところで彼女はお金の為に新しい男を作ったのでした。


寒い中ワタクシは歩いて品川から錦糸町に向かっていました、仕事が早く終わったのですが、夜中の1時です、バスも電車も動いていません、帰れば夕子が待っていて迎えてくれる、それだけを考え歩くワタクシでした、どけをどう歩いたか全く覚えていません、何度か迷いながらやっと八丁堀まで来ました、そこで夕子から携帯に電話がありました、「歩いて帰るので後一時間ほどでかかるから」と伝えて電話を切りました。


タクシー代がなかったわけではありません、自分でもこの寒い中を何で歩いて帰らなければならないか解りませんでした、夕子に「お前の為に頑張っているんだ」と言う事を示したかったのかもしれません、歩く事で夕子の仲が修復されるかもしれないと思い歩いたのかもしれません、結局、アパートまで4時間かけて着きました、夕子は起きてワタクシを待っていました、やっと帰ったワタクシの手はかじかみ顔は冷えきっていました。


夕子の作ってくれた食事食べ温かい風呂に入り布団に潜り込みます、そして深い睡眠を取り朝起きた時に夕子からこのアパートを出ていって欲しいと聞かされたのでした、ワタクシは彼女の言った事が直ぐにピント来ませんでした、夕子はワタクシの事は好きだけどお金が必要だから別れたいと言うです、ハル、マリコさん、雪子と女性を捨ててきたワタクシが逆に捨てられる番になってしまったのです。


ワタクシは一年ほど夕子と同棲していました、愛していた雪子と別れてから夕子といつも一緒にいました、そして別れると言われてその時に初めて夕子の事を愛していた事に気付きました、ワタクシは夕子と何度か話し合いましたが彼女の意思が変わることはありませんでした、彼女はワタクシにいつ出ていくのか迫ります、ワタクシはアパートを去り夕子と別れざるなくなりました。


ワタクシは浅草にある内装業の桐田のオヤジの事務所兼アパートに月6万円で入居する事を決めました、引っ越しはオヤジが手伝ってくれました、そしてアパートを出る時ワタクシは夕子の方を振り返りませんでした、それがせめてものツマラナイ男の意地だったかもしれません、そしてドアを閉めアパートから去ったのでした。



次回に続きます、いつものご訪問に心より御礼申し上げます。