185.ハルの微笑み.128 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
この日久しぶりに梅津君と会うことなりました、ボーナスが出たのでご馳走してくれるとの嬉しい申し出でした、約束の場所はよしえママの台湾料理店なのでした。



幸いよしえママは先に自分のスナックに行っていて不在でしたが後で店に顔を出すため、ゆっくりと梅津君と話が出来ました、しかし能天気日本代表の梅津君心なしか元気がありません、
ワタクシ「どうだい会社は?」


梅津君「うーん、まあまあですかねー」


ワタクシ「余り、うまくいってないみたいだなー」


梅津君「そうですねー、辞めるかもしれませんねー」


ワタクシ「なんだ、まだ一年もたってないのに辞めるのか」


梅津君「何か、楽しくないんですよねー」


ワタクシ「ハッハー、おっさんバッカリだからなーあの会社」
梅津君の入った会社はワタクシも知っている某大手会社の子会社で甘くだってくる人間が多く若い人は少なく、偉くなれる確率の低い会社なのでした、人間先が見えてしまうとやる気が無くなるものです、梅津君がこんな物かとなりやる気を無くすのも無理はなかったかもしれません。


ワタクシ「なんだよ、慰めに来てくれたんじゃないのかよー、元気だせよー、ほら錦糸町のことわざで‘石の上にもフィリピーナ,ってあるだろ」

梅津君「あー、ありましたねー、意味は‘フィリピーナだって嫌な客を我慢してるんだよー,ってやつですよねー」


ワタクシ「そうだよ、フィリピーナは家族の為に異国の地ニッポンでせっせと頑張ってるんだよー、嫌な客にも愛想を良くしなければならない、それを我慢しながら仕事してるんだ、クーッ、涙が出ちゃうねー」


梅津君「そうですねー、確かに僕には我慢がないですねー、でもヤッパリ辞めます」


ワタクシ「あっそう、なりほど、そこまで言うなら辞めなさいキ.ッ.パ.リと!、君ほどの人材なら行くところは一杯あるよ、明日にでも辞表出しちゃえ!」


梅津君「明日ですかー、そんなに早いと生活が........」


ワタクシ「何言ってるの、それくらいの覚悟なくてどうするの男だろー!」


梅津君「そ、そうですねー、パーッと辞めちゃいますかー、じゃあ今日の代金は割り勘と言うことで」


ワタクシ「ウ~ン、ヤッパリ3ヶ月位ゆっくり考えてから辞めてからでも遅くないかもね~」


梅津君「レイスリーさん、どっちなんですかー!」
目先の食事と飲み代をおごってもらう為に意見をコロコロ変えるワタクシになっていたのでした。

久しぶりによしえママの店に来たワタクシ達
よしえママ「おっ、梅ちゃん久しぶりだねー」


ワタクシ「今日は梅津君が払うんでママ宜しくねー」


夕子「アナタ ソンナコト イッテ ハズカシクナイノ」


ワタクシ「だって本当の事なんだから言ったっていいだろう」
ワタクシと夕子の間は少しずつですがギクシャクしてきていました。


ふと見ると懐かしい女の子がいました、以前よしえママに入国管理局に踏み込まれた時に休んでいて難を逃れたティックでした、彼女が初めて日本に来た時は14歳ママもデートさせるのは辞めさせようとしたのですが、お金の欲しいティックがどうしてもと言い店外デートを14歳の若さで行っていたのでした、そしてこの時19歳になっていました。


ティック「オニイサン オヒサシブリー ハルワ ゲンキ?」


ワタクシ「オーッ、ティックも元気そうだねー、ハ、ハルは今はわからないんだけどね」


ティック「アーッ、イマワ ユウコカ、ゴメンネ」

ワタクシ「ハハハ、まあ、そうだねーっ」
以前はリトルバンコクと言われた錦糸町、この時リトルマニラに変貌していましたが、タイ人達は地方に移ったり小さな店に分散して生き残こっていくのでした、時代は繰り返される、全盛を誇ったフィリピンパブもタレントが消え激減する事になるのですが、誰もがそんな事を考えていない時代でした。



次回に続きます、何時もご訪問下されまして心より御礼申し上げます。