176.ハルの微笑み.120 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ワタクシはパチンコで食べていけるのではと研究に研究を重ね1ヶ月で60万円ほどを稼ぎ出したワタクシでした。



しかし、目標の100万円には届きませんでした、理由は店の一番台を1人で探すのは難しいという事です、ワタクシは助手が必要と考え夕子に昼から来てもらうようにしました、夕子が助手として来てくれた事で次の月は見事に100万円以上稼ぎました、だがそこに問題が発生しました、パチンコ屋に毎日行っていると常連と言われる人達と仲良くなってしまいます、するとその人が打った後を打ちづらくなってしまうのです、俗に言うお釜が出来ない、そして1番の痛手は助手に徹していた夕子が自分の好きな機種を打ちたいと自我に目覚めてしまった事でチームワークがとれなくなってしまったのです。


そんな頃、1人の男が入り口の角台に座るようになりました、店の常連はその男の隣には絶対座りません、ワタクシはどうしてだろうと注意深く見ていると半袖の切れ目から墨が見えるのでした、「なるほど、その筋の人間か、だからか」常連達はヒソヒソと「帰ってきたんだね、やだね、あんなのがいて」と話していました。


「関係無いんじゃん、パチンコ好きで打ちに来てるだけだろう」ワタクシはプラスになると常連の顔見知りの人達にドリンクを振る舞うのですが、その男のところにも持って行きました、男は無愛想に頭を下げて再びパチンコに興じていました、常連の話だと、ここ1年ほど来ていなかったらしいのですが、刑務所に入っては出てを繰り返しているらしいということでした。


何度かドリンクを持って行くもののなかなか馴染もうとしない男、しかし稀に確変を引いた時は嬉しそうな顔をしてワタクシの方を見てニコリと嬉しそうな笑顔を見せるのです、そして駆け足でドリンクを買いに行きワタクシと夕子だけに渡してくれるのでした、そして「俺、鉄って言われてます」と言い終わると自分のパチンコの方に戻っていきました。


しかし鉄は次の日からパタリと来なくなりました、数ヶ月後のある日、ワタクシが出玉を20箱ほど積んでいると久しぶりに鉄はやって来て前と同じ角台で打ち始めました、久しぶりの鉄に「ほらっ、これで打て、出所祝いだ!」と一箱渡してやると鉄は「いつもスイマセン、アニキ!」と頭を下げるのでした、
ワタクシ「おいおい、アニキじゃないんだよー」

鉄「へへへ、スイマセンアニキ」
そして鉄は再びパチンコを打ち始めるのでした。

ワタクシは母親の血を受け継いで1人寂しそうにしてる人を見るとつい声をかけるお節介やきです、この時もその筋の人間かもしれない鉄ちゃんに声をかけてしまいました、彼の事は何も知りませんが同じ人間です、せめてお互いに好きなパチンコ屋の中でくらい職業も国も関係なく接したい、ワタクシに取ってはただそれだけの事でした、だが鉄ちゃんは数ヶ月してまた消えてしまいました、そして、偶然にバッタリ数年後に会う事になります(始まりはいつも雪.46をご覧下さい)。


久しぶりに江川さんから連絡があり頼みがあると言うのですが、それはワタクシと夕子が住んでいるアパートを又貸ししてくれないかというものでした、錦糸町周辺は多国籍の人達が多く住んでいるのですが、身元がはっきりしない外国人には不動産屋も二の足を踏む時が意外と多いのです、そこで日本人が借り外国人を住まわせるという事が多いのです。


ワタクシ達が住んでいたアパートは3ldkと二人では広く家賃も高いので移ろうと思っていたので江川さんの話は渡りに船だったのですが、何故江川さんがアパートが必要なのか、そしてそのアパートに誰が住むのか、江川さんはワタクシに意外な話を始めたのでした。



次回に続きます、毎度のご訪問誠にありがとうございます。