109.ハルの微笑み.53 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
雪子「オニイチャ~ン、コッチ コッチヨー!」
タクシーで錦糸町の雪子のアパートに着くと待ちきれないとばかりに一階の入口で跳びはねている雪子、そしてタクシーの方に猛ダッシュで飛び込んでくるのでした。


雪子「オニイチャ~ン、アイタカッター」
とタクシーの中でお構い無くワタクシに抱きつく雪子
ワタクシ「ちょ、ちょっと待ってよ~」


タクシーの運転手「あ、あの~、お客様どちらまで行けば宜しいでしょうか?」


ワタクシ「あ、ゴメン、ゴメン、上野広小路の不忍池側を行ってくれる」ワタクシは取り敢えず食事を済ませようと上野広小路にあるタイレストランに行くつもりでした。

錦糸町はここのところよしえママの店を手始めに断続的に入国監理局が入っていたのです、雪子の店が休みになったのもその為だったのでした、勿論上野広小路にも多くのフィリピーナ、タイ人が働いていたので入官はやって来ます、しかし錦糸町よりはまだましなのでした、それはまず上野広小路は客の往来が多く不意をついて店に乗り込みヅライという事、また当時は錦糸町の方が違法な滞在者が多かったという事なのでしょうか。


ワタクシと雪子はビルの5階にある不忍池を一望出来るタイレストランに入ります、時刻は夜の7時となり空から白い物が落ちて来ました、日本に来て生まれて始めての雪に興奮する雪子に拙いタイ語と日本語で雪子の名前の意味を説明するとまた嬉しそうにするのでした。

屈託のない子供のような笑顔とでも言うのでしょうか、いかにも能天気的な振る舞いや笑顔にワタクシの心も少しずつ雪子に持っていた警戒感が溶けていくのがわかりました、食事も終わりその日は広小路のホテルに泊まりホテルの窓から見える深深と降る雪を見て
雪子「オニイチャン ユキ キレイナ」


ワタクシ「そうだなー、雪子と同じ位な」
雪子はキョトンとした顔をしてワタクシを見つめ雪子「ホントネ オニイチャン、ユキコ オニイチャン アイシテルナー」


ワタクシ「そうか、ハハハ」
すると雪子の顔が大魔人のニコヤカな顔から怖い顔な変身するが如く急に睨み付けるような顔になったのでした。
雪子「ユキコ ワ アイシテル オニイチャンデショ、オニイチャン ワ アイシテナイナ ユキコヲ」


ワタクシ「イヤイヤ、それはねえ~、イヤ、あ、愛してるよ、本当に」
そう言うと雪子はまたまた180度顔が変わりニコニコしながら
雪子「チンチン?(タイ語では本当という意味なのです)」


ワタクシも「チンチンだよ~」


雪子「オニイチャーン、ユキコ アイシテルナ~」
この雪子のジェットコースターのような上がって下がって上がって下がっての性格に今後振り回されてしまう事になるワタクシなのでした。


そして次の日の朝、雪が積もる中彼女がワタクシの事務所に来たいというので連れて行きます、一週間に一回経理を見てくれる女性が来るのですがその他の日はワタクシ1人の稲荷町の事務所です、タクシーを降りると積もった雪で遊びたがる雪子「オニイチャーン、オニイチャーン、カメラー」写真を録りたがる雪子にねだられ前のコンビニで1000円カメラを購入し雪をバックにポーズを取る雪子を激写するワタクシ。。。。(〃_ _)σ∥


実は雪子はタイでは地方とはいえ美人コンテストで優勝しておりモデルをやっていたのでした、ポーズや表情はさすがに様になっていました、撮影が終わりマンションの事務所に入りました、ワタクシは簡単な事務整理を行っていると張り切り過ぎかソファーでウトウトと眠りにつく雪子なのでした、自由奔放の雪子にワタクシは魅力を感じつつ先が見えない不安を持つのでした。



次回に続きます、毎度お越し頂き誠にありがとうございます。