108.ハルの微笑み.52 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ハルとケンカしたまま機上の人となったワタクシはこの時ハルと別れる或いは捨てるという考えなど毛頭ありませでした、むしろもっと話し合えばよかったと後悔していたのでした、その時点ではワタクシの中では知り合って間がない雪子よりハルの方が大きな存在だったのです。


日本に帰って翌朝、携帯に着信が入りました、雪子でした、ワタクシは雪子にはタイで仕事があると言ってありました、ハルとの事を知っているのはミユキだけですが、日頃ブスだなんだとミユキの事を言っているものの彼女が口が軽い女ではなく信頼出来る女だとワタクシは見ていました。


雪子「オニイチャーン、カエッタデショ ユキコ アイタイーッ」


ワタクシ「ハハハ、そうかお兄ちゃんも会いたいよ~」


雪子「オニイチャーン イツ クルー キョウナ!」

ワタクシ「エッ、キョ、キョウカ」


雪子「ナッ、ナッ、ナッ、オニイチャン ナッ」


ワタクシ「ん~ッ、わかったよ」


雪子「オニイチャーン、マッテルナ~」
甘い言葉に弱いのは男の常なのでした、初回のデートの時の冷たい感じの雪子とは全く違う明るい彼女に戸惑いながらワタクシは徐々に引かれていくことになってしまいます。


雪子との電話を切ってしばらくすると又携帯に着信が見ると本間さんでした、店に行く連れにちょうどよかったと出てみると
本間さん「レイスリーさん、大変デスヨ」


ワタクシ「どうしたの、本間さん?」


本間さん「よしえママの店、またやられましたよ入官に!」

ワタクシはそれを聞いて絶句致しました、危惧していた事が起こりやはり 開店は早すぎたのかと思わざる得ませんでした、
ワタクシ「それでよしえママはどうしてるの?」

本間さん「それが僕も連絡してないんですよ、なんて言ってわからなくて」
よしえママの存在はこの時ワタクシや本間さんには姉貴的な物になっていました、2回による入官の立ち入りでママはショックを受けているのではと心配になりワタクシがママには連絡を取るという事で本間さんとの話を終えよしえママの携帯に電話を入れます。
よしえママ「あっ、レイちゃん、やられたよー、もう私も元気ないよ」

さすがのよしえママも参っていた様子なのですが最後には「私は負けないよ、また頑張るから」とワタクシに再起を誓うのです、このママのバィタリティは一体どこから湧いて来るのか台湾から若い時に出てきて錦糸町では知られる存在のママになるまで相当の苦労があったでしょうがその度に逆風をはねのけてきた、行ってきた内容は別にしても強い魂を持ったなかなか会える事のない女傑であることには間違いないでしょう。


よしえママとの電話を切りタイのハルにこの事を伝えました、ハルに伝える事で以前よしえママの店で働いていた女の子達には瞬く間にしれわたるでしょう、それにより女の子達はママに呼んでもらう事を諦め独自に日本にくる事を模索する事になるのでした。


ハルはタイでのケンカの事には一切触れません、しかし二人の会話は以前ほど弾んだものにはなりませんでした。


しばらくしてまた雪子からの電話です、
雪子「オニイチャーン!」


ワタクシ「何、どうしたのー」


雪子「オミセ キョウ ヤスミヨ ニュウカン クルデショ ユキコ コワイナー」


ワタクシ「あっそう、じゃしょうがないね」


雪子「キョウ オニイチャン ユキコト イッショ イルナ」


ワタクシ「えっ、お店に行かないで会うの大丈夫なの?」


雪子「ウン レイスリーサン ナラ ママワ ダイジョブ ダッテ」


ワタクシ「う~ん、わかったよ」


結局雪子を迎えにワタクシは錦糸町にタクシーで向かうのでした。



次回に続きます、いつもご訪問くださいまして誠にありがとうございます。