60.ハルの微笑み.5 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ワタクシは当時、非鉄金属を扱う商社に勤めるサラリーマンで若手の中では出世は早い方で上司からも目を掛けられ一見順風満帆の人生を歩んでいました、一方でサラリーマン生活に対して嫌気がさして独立する事も考えている時期でした。


商社にいるため海外の人とは香港、シンガポール、台湾、タイ、ベルギー、オーストラリア、中国等の人達と仕事上の付き合いが有るだけでその国の内情や国柄などは外見上でしか知らないワタクシでした、以前フィリピンパブには2度程行った事があったのですが、その時は特に興味もなく「貧しい国から出稼ぎに来て大変だな」位にしか考えてなくワタクシはごく一般的な考えしかない日本人でしかなかったのでした。


ごく一般的な日本人、仕事に勤しみ、家庭を大事にし、自分の世界観を持ち、しかし物事の一面しか見ようとしない、自分の世界からはみ出す事をよしとしない人達、全ての人ではないにしろそういう方々は多く存在する、勿論その生き方が駄目だというのではありません、むしろその生き方で一生を全う出来るならそれで幸せなのでしょう、但しその人達から見てワタクシは最低の男であり、最低の生き方をしている人間に見えるのかもしれません。


その通り、ワタクシは最低の生き方をしたのです、しかしこの後の体験が一般的な日本人の枠から飛び出させてくれ、いい意味で人間を人間として見る目を持ったと思っているのです。


話は戻ります、この日ワタクシは錦糸町のタイ人達がいる店にまたやって来ていました、ワタクシには何故かこの店に引かれ4度目の来店になりました、といってデートは断り続けていました。


一番引かれたのは彼女達の生き方でした、明日の食べ物も儘ならない田舎から這い上がろとし、その方法が身を売ることしかない彼女達が見知らぬ国、日本にやって来て必死に前向きにそして過去の暗さを感じさせない明るさを見せる生き方、それは一般的な日本人であったワタクシの心を揺さぶり始めていたのです。

ワタクシは10歳年下で会社の後輩の梅津君と店に来ていました、彼は福岡出身で静岡の大学を出てワタクシと同じ会社に入社して来たのでした。


ワタクシの席には夕子と女の子2人がついていました、何故かアルバイト3人いるなかで夕子がいつもワタクシの席に着くのでした、
夕子「レイスリーサン ワ ホントニ マジメネ、コレ サービス ヨ」とチャイナドレスの前の部分を目繰り上げてパンティを見せてくれる夕子。


アッチコッチで賑やかに女の子の笑い声がしています、フト斜め前の席を見るとスラリとしたミニスカートの子がワタクシの目に止まりました。


いままで席にも着かず見た事がない子です、夕子に聞いてみます、
ワタクシ「ねえ夕子、あの子は新しい子なの?」

夕子「チガウ、モウ サンカゲツ ミセ ニ イルヨ、イツモ デート ダカラ ミタコト ナインジャナイ」

ワタクシ「フ~ン、人気あるんだ」


夕子「チョット マッテネ」とその女の子を連れて来るのでした。


そして席に着いた女の子はまだ少女のあどけなさが残る顔立ちですが、やや低いハスキーボイスでワタクシに手を合わせタイ式の挨拶します。

ハル「ワタシ ノ ナマエ ワ ハル、アナタワ」


ワタクシ「レイスリーって言うんだ、ハルって名前なの可愛い顔立ちダネ」そう言うとハルは幼い顔でニッコリと微笑むのでした、「微笑みの国タイ」から来たハルとの始めての出会いでした。



次回に続きます。いつもご覧頂き誠に有難うございます。