57.ハルの微笑み.2 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ハルが日本に来て2ヵ月が過ぎようとしていた。


みつえママの店で働くようになったハル、この店はママ、チイママは台湾人でタイ人のアルバイトが3人、この他30人程の女性全てがタイ人でハルと同じように組織を通じてやってきて、同じように夢を見て同じように体を売るのだった。


この街の相場は休憩2時間で25000円、泊まりで35000円だ、ハルは店に来て瞬く間に人気となり休憩を2回転、また休憩し泊まりと1日に6万円を稼ぎ出すこともザラだった、しかし6万円の内5万円は借金返しに回した。


5人で同居するアパート代に3万円、食費に3万円を出し10万円を母親に送金した、それ以外は全て借金返し回した事で350万円あった借金は2ヶ月で120万円までに減っていた。

みつえママは働きすぎるハルを見かねて10日に一回は休むようにさせた、しかしハルはなかなか休もうとはしなかった。


話は前後するがみつえママが運び屋に250万円を渡したがママはボスではない、ママを介して日本人がお金を出していたのだ、その客が100万円儲かり店に客としてその金を落としてくれるという循環がこの店を繁栄させていた。


みつえママが可愛がったのがアルバイト3人娘だ三人共に美人だ、一人はノイ、借金はとっく返し日本人と同棲している、もう一人はラブ、彼女は不動産屋の愛人だった、みつえママは二人には30万円の給料を与えていた、そして夕子、彼女こそこの街のタイ人の中でのスターなのだ。

この街の1000人近くいたといわれるタイの女の子の中でも抜群に可愛く、ソバージュのヘアスタイルからの笑顔は男逹を虜にしてしまうのだ、彼女には男が2、3人貢いでいた、みつえママも夕子には他のアルバイトより多い50万円を月々与えていた。

彼女は350万円の借金を背負って18才の時日本にやって来たのだ、しかし僅か2週間後には全て返済された、肩代わりする男が現れたのだ、それ以降アルバイトの給料、男逹の貢ぐ金で故郷のチェンライに2千万かけて家を建てた、そしてバンコクバンクにも貯金もある。


タイのシンデレラスドリームの象徴それが夕子だった、どの女の子も皆夕子を羨ましがり彼女のようになるのが目標だったのだ。

しかしハルはわが道を行こうとしていた、彼女は気が強く、そして男勝りの負けん気の強さだった「もう少しで借金も終わり後は自由に稼げる、お母さん、弟、妹に貧しい暮らしをさせたくない、自分の体の上を通り過ぎた男逹を見返してやりたい」その思いが常にハルの頭にこびりついているのだった。


しかし人の運命とはわからないものなのだ、愛もいらない、恋人もいらないと思っていたハルにある出会いが訪れようとしていたのである。



次回に続きます。いつもご来席、誠に誠に有り難う御座います。