北海道から伯母が来た。

長男に赤ちゃんが産まれたそうだ。


浦和組と共に、川越へ。

喜多院を観光。

下町のような城下町のような街並みをあてもなくぷらぷらする。

買い食いしちゃう前にと、着くなりお昼を探す。

「うどんかうなぎ。」
というリクエストに、迷いなくうなぎ屋を探す。

こういう時は地元の人に聞くのが一番。

裏道の一軒を教えてもらい、舌鼓。
油の乗ったふわふわの鰻は、絶品。贅沢ぜいたく。


箸屋、菓子屋横丁、パン屋、洋服、お豆屋…などなど、適当に入ってはペチャクチャとおしゃべり。

いつしか私がしてもらったように、お土産を渡す。
お弁当のお箸。

お弁当箱や、おうちでのお箸、お饅頭。

全部気持ち程度の物ばかりだけれど、欲しいと言ってもらったものを、思い出にと銘々渡す。


帰宅して日常に戻った時、ふっと誰かの顔がよぎるものだ。

そういうのって、なんだかとても素敵だと思う。


じゃあ、これはあんたに。
じゃあ、これはあなたに。

…と、それぞれ買って、はいはいと交換してゆく。

気づけば私は、腰ほどもあるふがしを与えられた。

娘には、アタリマエダのクラッカー。

「これ持って、電車、乗れないし。」
くすくすと笑いながら、ふがしを抱える。



その数日前、突然電話がきた。

「あんた、今、家?」


慌てて帰宅し、待ち合わせの場所へ向かう。

その数時間後には、はるばる戸田から二時間かけて、彼女と娘が到着した。

みんなでランチを済ませ、プリクラを撮り、洋服を買い、別れた。
なんとなーく、の集まりだった。

「じゃあ、またすぐね~」
と、ばいばいしてからの、川越。

産まれる前からそこにあった、家族の塊。

みんな離れて、ぐるぐると変わってゆく毎日を過ごしているはずなのに、何故かなんにも変わらない、家族の塊。

酸いも甘いも乗り越えてきた彼女らと話していると、どんなこともなんてことないように思えて、本当に安心する。


川越を後にしたのは、ちょうど4時だった。

「いいコースね。」
母が言う。

浦和経由で車を乗り換えて、帰ってきた。

伯母に会うのは、また一年後のようだ。


翌日の夕飯を仕込み、父に見送られ、実家を後にする。

ふがしは送ってもらった。


今月の末には、また北海道から、違う叔母が来るそうだ。

楽しみだ。
久しぶりに父と色々会話した。


たわいもない話。

たまに愚痴を交えながら、たまに笑いながら。

こちらは、トントンじゃあじゃあと、仕込みをしながら。


学校の用務員をする父。

なんだかんだ言いながらも、そんな話を聞いていると、新たな居場所に居心地の良さを感じているのが伝わってくる。

お互い、そうとは言わないけれど。
なんとなくわかるものだ。


何やら、男子生徒にお礼を言われたらしい。

「オジサンガコウシテクレルト、チョータスカル!アリガトウ。」
「チョーとか言われて、どう返事したものか。参っちゃうよなあ。」


60もとうに過ぎた父が、華の高校生に話しかけられてどぎまぎしている姿を想像したら、おかしくて大笑いした。


それからも、やれバレンタインでチョコレートをもらっただの、やれ1月は忙しいだの、女子生徒のスカートの短さに気まずいだの、話は続きつづき。

前職の話へ。

大の大人の、しかもおじさんの集まりともなれば、まあまあややこしいこともあったようだ。

今となり娘に話せる愚痴もあるだろう。

男の人も、色々苦労がある。


散々話してすっきりしたのか、上機嫌で庭木の剪定に出て行った。
聞かされたこちらは、あらあらと思いながら、また料理にとりかかる。

かたや娘は「ママ」の連発。

段々はっきり呼べるようになったねえと喜んでいる間に、はっきりどこか、ちょっとひれ伏すくらいのボリュームと、滑舌で。

眠たい時に泣きながら呼ばれた時は、かわいさに涙が出そうになった。


二歳を過ぎた姪っこは、振り付けつきで歌っていた。
朝から晩までおしゃべりしているらしい。

未来の娘を重ね、成長がますます楽しみになる。


まずはあんよの特訓だ。
眠れない夜から一夜明け。

怪獣の母と、ギャングたちの母で、ちょっとお茶。

…茶を出し忘れた。

けれど、会うだけでほっと出来る、大切なひと。


ばいばいとお礼を言い、家に戻り携帯を見ると、メール。

旦那さんだ。

今日は仕事で帰りが夜中になると言っていたのに。


そこには、にんまりスマイルとピースサインが並んでいた。


「やったな。」
二人安堵で会話する。

わざわざ仕事の合間に戻ってきてくれたようだ。


また、新しい生活が始まる。

コツはわかっている。

『慣れる。』だ。

そう、いつだって、そうやって楽しく乗り越えてきた。


今日はとっても寒くって、抱っこした娘が風にキャアキャアはしゃいでた。

お出かけ大好きな母娘も、インフルエンザがもう少し落ち着くまで、外出を控えている。


春が楽しみだ。