バカは夜明けによく笑う(仮) -18ページ目

母親の指輪が形を変えて

指輪を頼まれたのは秋も終わる頃。
話を聞きに行ったのは彼の部屋。
母親の指輪を溶かし、形を変えて彼女に渡したいというのは彼の気持ち。
見たのは使い込まれた傷だらけの指輪。

新しいふたつの指輪ができたのは年が明けた頃。
届けに行ったのは一緒に暮らし始めたふたりの部屋。
招き入れたのはふたつの幸せそうな顔。
コーヒーを入れる事すら嬉しそうな彼女の笑顔。


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ふたりが愛の誓いをすると決めた場所は海外。
日本はその頃、まだ肌寒い春の始まり。
見届けたいと思う気持ちと裏腹に、お金も時間も何もない僕。
いい挙式だったと教えてくれたのはまた別の友人。

ふたりの顔をまた揃って見たのは春の日曜日。
集まったのは沢山のふたりの友人。
幸せそうなふたりの指には母親の指輪が形を変えて。


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母親の指輪と同じくらい、ふたりの指輪が傷ついた頃。
そんな誰も知らない先の未来でも、ふたりはきっと大丈夫。

そう思えたのはふたりの笑顔。