イカゲーム シーズン2

(2024年)

Netflixシリーズ



シーズン1のラストで次、また普通にゲームに参加しそうだったので、そういう馬鹿な展開にならなかったのはホッとした。主人公は前回解放されて以降、運営の人間を地道に捜索していたし、ゲームへの参加も敵のアジトを探すのが目的の参加で、GPSを装着してその信号を仲間に追跡させたりしてたので、そういう意図での参加だったらちゃんと納得出来る。


しかしどうしても荒い部分が気になったのでその部分だけは一応羅列しておこうと思う。


まずフロントマンのファン・イノがプレイヤー001 オ・ヨンイルとしてゲームに潜入していた件だが、ヨンイルは第1ゲームが行われていた時はまだ別室の椅子に腰掛け、酒を片手にモニターでゲームの様子を見ていた。つまりヨンイルは最初から会場に居たワケではなく、潜入は第1ゲームの後からだったという事だ。第1ゲーム終了後、プレイヤー達は次のゲームをやるかどうかを投票で決める事になるが、ヨンイルは全員の関心がその投票に集まっている隙に、背後からゆっくりとその輪に加わったのだ。しかしなぜ最初から潜入しなかったのか?『001』という番号は他の番号に比べ注目が集まりやすく、またどこに居るかをつい皆が探してしまう番号である。よって「途中からこっそり加わっても気付く者などいないだろう」という安易な考えには甘さを感じてしまう。もしプレイヤーの中に能天気馬鹿がいて、ゲームの前に「わぁ俺、002番だ。001番の人いませんか?握手しましょう。001番?001番?」などと探し始めたら001番が居ない事が一発でバレてしまうし、そういう事態を想定し第1ゲーム時点では001番の替え玉を参加させていたのだとしても、周りの人たちが「スゴっ!この人 001番だ」と思って001を見てたら替玉の顔が印象に残るかもしれないのだから、途中から本物と入れ替わったらバレても不思議じゃないだろう。仮に完璧な整形をして同じ顔の奴を影武者として潜入させてたとしても、そいつが第1ゲームで死んでたらどうするつもりだったのか。実際、“マッチゲーム”(第3ゲーム)ではヨンイルは負ける寸前だったので、潜入者は必ず勝てるように細工されてるワケでもないようだし。百歩譲って仮に影武者が死なないように“だるまさんがころんだ”の上手い奴を選抜し、そいつの顔をヨンイルと同じに整形してから第1ゲームに参加させていたとして、そんなにしてまでゆったり酒飲む時間作るくらいなら最初から本人が参加したほうがよっぽど面倒臭くないだろうと思ってしまう。そもそも、なぜ番号をわざわざ注目を集める001などにしたのか。本来なら前のほうの数字でも後ろのほうの数字でもキリがいい数字でもゾロ目でもなく、目立ちにくい『238』などにするべきだったのだ。『001』にするメリットがあるとすれば、① 自分がまだ死んでおらず、② 次のゲームをやるかどうかの投票をする場面で、③ 番号の大きい人から順に投票する方式の時に、④ ◯と✖️が同数になり最後の1票で結果が決まる というかなり限定された状況が訪れた場合に自分が決定権を持てるという、そこだけである。 というか投票結果を操作出来ないなら投票に紛れて潜入した後、「投票の結果、“ゲームを続けない”に決まりました」って言われてたら何もせず終了である。そういう展開は考えなかったのだろうか?


あと通常ゲームとは別にスペシャルゲームがあったが、これはシーズン1でもそうだったが、平時における暴行・殺人は許されてないのでそれをするとルール違反で制止されたり、失格となって殺されてしまうが、スペシャルゲーム中だけは暴力や殺人が許されていて他のプレイヤーを殺してもペナルティーが無い。しかし、それは運営側だけが知る事でプレイヤー側はスペシャルゲームの存在を(経験者のギフン以外)知らないのだから、死にたくない彼らが自らペナルティーくらうようなマネする訳がないのだ。しかし更におかしな事に、そういうルールとは知らないハズのプレイヤー達がなぜか急にトイレで暴力行為を開始するのだ。どうして?死んじゃうよ?意味が分からん。処刑されたらどうするの?なぜ消灯後、当たり前のように夜襲を掛けるの?


そして臓器売買だが、ピンクガード(マスクドソルジャー)達は失格となった者の臓器を高く売り捌いて儲ける為にわざと足を撃つなどして失格者を殺さないようにしていたが、あれは組織ぐるみでやってる事ではなく、あくまで現場のスタッフが上層部に隠れて無断でやっている事なので、上層部や賭けを楽しんでる顧客達には秘密であり、決して知られてはいけない。しかし“だるまさんがころんだ”で足を撃たれた奴をギフン達が助けようとしたように、見れば「あぁ、まだ生きてる」と分かるので、運営の偉い人や賭けに興じる客達だって距離が遠いとはいえモニター越しに見てるのだから、撃たれたのにわずかに動いてる奴がそのまま棺に入れられて運び出されてたら「今、死んでなかったよな?」と気付くことは十分に考えられる。上層部にバレれば絶対タダでは済まないのだから、やるならもっと巧妙にやらないと。


根本的な話をすると、前回同様、今回も運営側の人間がゲームに潜入していたが、そもそも潜入させる事の必要性が分からない。運営が潜入するなどの行為は基本、意味がなく、むしろ余計なのだ。関係ない人間がゲームに参加すれば結果にも影響してくるので公平な条件下でのギャンブル運営が阻害されてしまう。実際、ヨンイルは第3ゲームで自身が生き残る為に先に部屋に入っていた343番を殺したが、賭けを楽しむ客の中には343番に賭けていた人もいたかもしれないのに運営の都合で賭け馬を殺されて大金を失ったら納得いかないだろう。客達に予め「運営からもプレイヤーとして参加させます。しかし、ひいきなどなく公平な条件での参加なので運営が送り込んだプレイヤーでもゲームに負けたら死にますし逆に他のプレイヤーを死に追いやる場合もありますが、それも全てゲームの一部ですのでご了承下さい」などと事前通告してれば参加も許されるのかもしれないが、他のプレイヤーと何ら変わらないなら客の了承を得てまで運営からも参加させる意味がない。じゃあ運営からは毎回、強力なプレイヤーを投入すればいいかと言えば、それはそれで運営のプレイヤーが自分達の賭け馬を次々に殺していってしまうと賭けがつまらなくなるので、客からは不評を買うだろう。


だとすれば運営がプレイヤーの中に自分達の仲間を潜り込ませるのにはもっと別の理由があるのだろう。現場の情報がリアルに入手出来るメリットがあるからとか?確かに監視カメラや集音マイクだけでは得られない情報もあるのだろうが全ての情報を拾う必要なんて無いし。運営側が死の危険をおかしてまで潜入して得なければいけない現場の情報って何?そんな無くてはならない情報があるなら各刑務所も常に刑務官をひとり囚人に紛れ込ませるとかやると思うんだけど。反逆の企てを事前に知る事が出来るから?いやいや今回だって反逆企ててたしその情報もリアルタイムで得てたのに暫く泳がせててピンクガード沢山死んだよね?反逆を未然に阻止するのが目的の潜入なら被害が出る前に本部に連絡したはずだよね?もっと早くから動いてたらピンクガード達があんなに死ぬ事も無かったのに。1人なんかヨンイルの目の前で死んでたからね。しばらく銃撃戦続いて双方に結構な被害出てからやっとヨンイルはプレイヤー2人を殺し「処理を始めろ」と指示を出してたけどタイミング、今じゃないと思うよ。その後暴動を鎮圧し、フロントマンの姿で再度ギフンの前に現れ「ヒーローごっこは楽しかったか?よく見ろ、お前のヒーローごっこの結果を」と言ってギフンの親友を撃ち殺し、あたかも“この代償はお前の軽率な行動が招いたのだ”とでも言うような態度でしたが、お前のせいでピンクガード達が無駄に命を落とした事はいいのか? 結局、何が目的のゲーム参加だったんだ?だいたい潜入するにしても普通、フロントマンクラスの人間が潜入するなんて事にはなりえない。脚本、酷すぎないか?



更に分からないのは“5人6脚”(第2ゲーム)の時、ヨンイルがわざとコマを失敗していたこと。最終的に残り1秒でギリギリゴールして合格してたが、何かひとつでも間違いがあったら脱落(死亡)してるところだったろ。わざと失敗してチームを脱落させる気だったら自分はどう助かるつもりだったのかって話になるし、逆にどうせ合格する気だったとしたらギリギリ合格だろうが余裕持って合格だろうがタイムに応じた減点やペナルティがある訳でもないので、その“コマを失敗する小芝居”をなぜする必要があったのか全く意図が分からないし、失敗しても自分だけは死なない手筈になってたのかとかもよく分からない。


物語の最後に第4ゲームがチラっと映ってましたがこの先どうなるんでしょうか?次は最終章なので捜索隊もパク船長をやっつけて、いよいよ会場に乗り込んで本土決戦となるのでしょうが、ゲームはどこまで描かれるんでしょうか?私が書いた多くの疑問がシーズン3を見る事で「そういう事だったのか!」と解消される事を願ってます。