「当たると評判の手相占い師が横浜にいる」というような話を耳にする事がある。
しかし『手相占い』に"当たる人""当たらない人"も居ません。

そもそも手相占いは、本を買ってきて勉強すれば誰でも始められる占いです。

手相占いを行う者は、掌のシワに関する膨大な知識が必要とはなりますが、超能力、霊能力等は一切必要なく、地質学者が段層を見て「この年代に火山噴火があった」と解説するのに似ています。愛情線が3本ある事さえ確認出来れば誰でも「複数の異性に愛情を注ぐなど、異性全般に優しい性格です。悪く言えば一途さに欠け、異性にだらしないタイプとも言えますね」と示す事が出来るので、それはとどのつまり、手相を視たのが有名占い師でも、他の占い師でも、私でも、ウチの母でも、幼稚園児でも愛情線が3本だと分かるので、(知識さえあれば)誰でもその人が浮気性だと指摘出来るのです。ならば、もしそれを有名占い師が的中させたからと言って、それが有名占い師の手柄だと言えるのでしょうか?誰が視ようがシワが示す答えはひとつしか無く、既に答えは決まってるので、当たる時は占い師全員が当たるし、ハズれる時は全員ハズれるのです。

よって『手相占い』に“当たる人”なんて居ないのです。



私も遥か昔に手相占いの存在を知って以降、何度か自分の掌を眺めてきましたが、幼い頃から今に至るまで形に変化を感じません。生命線も相変わらず同じ所で途切れてるし、「手相って変わらないんだな」というのが印象でした。
しかし、バラエティ番組等で手相占い師は「未来は心構え・行動・生き方で変わるものだから、手相も日々少しずつ変化していると言います。
私が自身の実体験に基づいて「手相は変わらない」と感じているのに、その印象と真逆の事を"当然の事"のように言われると、「定期的に視てもらう必要があるんだな」と客に思わせて頻繁に来店させる魂胆なんじゃねーかと勘繰ってしまうのです。

「私、ちょっと手相変わりましたよ」と言う方、そりゃそうです。年配者の顔に刻まれたほうれい線は、肌細胞が水分や弾力を失い硬化した結果、生じたものです。幼年、少年、青年、成年、どの時の肌も状態は同じではありません。歳を重ねていけば当然、心構えとかに関係なく人の手相も多少は影響を受ける事になるのです。


番組内で占い師が「手相は良い方向に変えていけます」と言うと、芸能人らはその方法を質問しました。占い師は「意識して生活を変えるんです。生活を改善すれば手相も変わっていきます」とアドバイス。それっておかしくないですか?手相占いは手相を見て運・不運を判断するものなのに、幸運な手相の人間になる為にまず生活を改めないといけないの?確かに規則正しく健康的な生活を心掛けるようにすれば部屋も清潔になるし体も丈夫になって寿命も伸びるでしょう。しかし生活改善で伸びた寿命は「運勢の良し悪し」じゃなくて「日々の努力」によるものですよね?つまり生命線が伸びたから寿命も伸びたんじゃなくて、寿命が伸びたから生命線も伸びたって事になる。体の状態のほうに手相が後追いしてるじゃないですか。彼氏が欲しくて必死にダイエットして肌のケアや清潔感に配慮し、お洒落やメイク、髪などにも気を配るようにして超魅力的な女性に大変身しモテるようになったら、そこで初めて恋愛線が変わるって事ですよね?

美人になったらそりゃモテますよ、恋愛運とか関係なく。

じゃ自分磨きだけしてれば良くないですか? 手相とか関係なく。

「生活改善で手相も変わる」って我々、別に手相変えるのが目的なワケじゃないですから。



『手相占い』も他の占い同様、客が勝手にバーナム効果を起こしやすい性質があると思います。また、『手相占い』が持つ特性のひとつに、"ハズレない"があります。

手相占いの結婚占いは、当たった時は信頼を得るのにハズれて信頼を失わない不思議な占いなのです。

手相術の結婚占いは結婚線の位置や数から「貴方には結婚のチャンスが人生で3回あります。最初が22歳くらいで、次が35歳くらい、最後が45歳頃ですね。」と占い、仮に22で結婚出来なくても、それは「あなた」が「1回目のチャンスをモノに出来なかった」だけ。「残念でした。次は35歳の時です」と言ってれば、何歳の時にも結婚出来ていまいが占いがハズレた事にはならないのです。3回のチャンス全てを活かし切れずに終わる場合だって当然あるのですから。「もしかしたら貴方に密かに想いを寄せてた異性がすぐ近くに居たのかもしれませんが、それに気付いてあげれなかったのかもですね」などと言っておけばよいのです。逆に当たる時はその結婚が34歳でも33歳でも37歳でも『35歳』に該当するので全て的中扱いになってしまいます。


それとですね、「貴方は将来こういう運命です」と言っておいて「生き方次第で手相は変わっていきます!未来もどんどん変わります!」って言われたら、「じゃあ、さっき視てもらった未来もひと月後にはもうどうだか分からんじゃん」ってなりません?
未来が変わったら35歳で2回目の婚期が訪れる予定だった話はどうなるんだよ?
"将来を占う"とは本来、人生への干渉による様々な紆余曲折も含めた変化の末に最終的に辿り着く将来を占うものじゃないの?
手相占いにおける将来の占いは最終的に確定する未来を占うものではなく、今のまま生きた場合の未来を占うので、占い結果と違う結末になっても「絶えず変化する」と言っておけば、結婚占い同様、絶対にハズれないのです。

要約すると「未来はどんどん変わるので先の事はわかりません」と、普通のこと言ってるだけなのですが、それが手相占いなのです。

当たり前ですが『手相占い』ってものは、正確な結婚時期も正確な寿命も、全ての情報は手相に詰まっているので、手相を見なけりゃ何も始まらない訳です。"手相"という情報を提供されて初めてそれを読み解く作業に移れるので、占い師は辞書がないと調べものを始められない人と同じです。ならば占い師は"辞書が無ければただの人"で、アナタの掌がその"辞書"だという事になります。では、その優れた辞書を自分の掌に作り上げた自分が一番凄いという事にならないですか?でも、だとすれば貴方はそんな大層な辞書をどうやって作り上げたのですか?まだ出会ってもいないかもしれない未来の運命の相手の事を、結ばれる時期まで含めて掌にシワとして刻むには、貴方自身、相当な未来予知の力や身体変異の力がないと不可能なんですよ。性格や職業運、金運、恋愛運、健康運などを事細かに、常に更新しながら掌に浮かび上がらせる能力。そして生命線。自分の死期まで悟る力。最強術師かよ!
皆さん気軽に手相見てもらってますが、それって地球人全員が最強術師みたいなこと出来てるって事になるんですよ?誰もがそんな脅威的な力を持っているなら、今更、誰の助けが必要なんですか?

だいたい自分にそんな力あると思いますか?そんな力が無いのだとすれば、占い師が見てるものはなんですか?占い師に見えているものが、未来でも運勢でもなく、なんの変哲も無いただのシワだったとしたら、その普通のシワを基に述べられる占い師の言葉に何か価値がありますか?

余命3ヶ月の宣告を受けてから手相視てもらってもこう言うでしょう。
5年後が2回目のチャンスです