











弁護士のコーネリアス(コーニー)・ライアンは、富豪の投資家マシュー(マット)・ヒグビーの名誉棄損訴訟の担当となる。
ところが、ヒグビーが生活を支援している女性宅に強盗が押し入り、更にその強盗犯が何者かに殺されると、ヒグビーは殺人の容疑者とされ…。
マシュー・ヒグビーという男は何者なのか。
まずはこの謎が物語を引っ張ります。
誰からも好かれる好人物のようだけれど、友人もおらず、そもそも生活を支援している女性フランシスが愛人なのかと思ったら、男女の関係は無く、フランシスの方から誘いをかけても乗ってこないという。
そもそもヒグビーが弁護人としてコーニーを雇うのも、フランシスのためにサラブレッドを所持して競走馬として出走させるためのライセンスを申請しようとしたところ、ニューヨーク州競走馬委員会の委員長であるフーバー将軍から「殺人者」呼ばわりされた事が発端。
フランシスという女性のために、どうしてそこまでするのか。そしてフランシスにはどんな魅力があるのか。
前半は、そんな疑問を抱えることになりながらも、ヒグビーがフランシス宅に押し入った強盗が殺された事件の容疑者にとなり、更に姿を消したことで、コーニーがヒグビーの行方を探しながら事件の背景を探っていくミステリーとして描かれています。
ところが、後半は一転してシチュエーションスリラーに。
フランシスの娘ドーンがアパートメントビルのテラスから飛び降りようとするのを、コーニーをはじめ、警察官や関係者が説得を試みるという場面が描かれていきます。
この展開が自然で、読んでいてのめり込んでしまいます。
また終盤で明かされる真相には驚きを禁じ得ず、最初はドーンやフランシス、それにヒグビーに対してどこか抱いてしまうような不審な思いも拭き取んでしまい、なんとも言えない、どこか幸せな読後感に包まれました。
決して派手なミステリーでは無いけれど、ふとした拍子に思い出しそうな名品じゃないでしょうか。
