1539年のフィレンツェ。
元刑事裁判所の捜査官で、現在は降格され夜勤パトロールを務める夜間治安官のチェーザレ・アルドは、外出が禁止されている雨の夜、不審な人物を発見する。
その不審者を追っていると、ミケランジェロのダヴィデ像の下にて磔にされたかのようなポーズをとらされた男の惨殺体を発見すると、更に翌日も同様の死体が発見され…。
16世紀のフィレンツェを舞台にした歴史ミステリー。
夜間治安官のアルドが磔にされたキリストを模したかのような殺され方をした男の捜査に乗りだすも、同じような新たな死体が発見されます。
宗教、悪魔祓い、同性愛(男性同士)、権力者による権謀術数などを絡め、舞台となる当時の生活感が匂いたつような描写と共に犯人探しが描かれます。
相棒となる捜査官ストロッキとのバディぶりも楽しめましたが、何より伯爵夫人のコルテッロのやり取り、駆け引きが楽し過ぎて、事件の真相よりそっちをもっと読みたくなったぐらいです(笑)。
主人公のアルド自身もキャラクターとしては面白く、優秀な刑事裁判所の捜査官だったものの、どうやら上司に疎まれて降格させられ、夜間専門の治安官として働かざる負えない身を嘆いています。
夜間専門で働いているため、ひた隠ししている同性愛の恋人である医師との逢瀬もままならず、身体的にも精神的にも参っているなか、今回の事件を解決し再び捜査官へとの望みを。
そんな中でバディを組む事になる捜査官ストロッキは、かつてはアルドの部下であったものの、いまは上司という立場。
そんな複雑な関係のせいか、互いのやり取りも部下と上司というより、対等の立場のような感じ。
そして、なんだかんだで互いに補完し合い、事件の捜査を進めていく様子も興味深く読めました。
さて、事件そのものの真実は、それほど驚きに満ちたものではないですが、見えていたものが真実とは限らず、別の顔をもっているというのは、どこか主人公のアルド自身をも思わせるかも。
そんなアルドを主人公にしたシリーズは、本書の前に3作ほどあるようで、アルドが夜間治安官に降格された理由なども描かれているんでしょうね。
それらも読んでみたいのですが、アルドの今後が何より気になります。
シリーズ全作の紹介を新潮社さんには是非ともお願いしたいところです。