ニューヨーク近代美術館MoMAのアシスタント・キュレーターであるティム・ブラウンの元に伝説のアートコレクターから招待状が届く。
ただそれはボスのトム・ブラウン宛のはずが間違えてティムの名前が書かれていた。
ティムはボスの振りをしてコレクターの元に赴き、幻のアンリ・ルソーの作品の真贋を見極める事に。そしてその場にはティムの他にアンリ・ルソーの研究者として知られる若き日本人女性、織絵がいた。
アンリ・ルソーの名画「夢」を元にした幻の作品を巡った美術ミステリー。
本当の正体を隠して訪れたアートコレクターの元で、同じルソーの研究家である織絵と幻のルソーの作品について鑑定を競い合うティム。
ルソーについて描かれた謎の書物を、毎日一章ずつ読み、最終日の鑑定結果とその理由を述べることで、その幻の作品の所有権を得られるという。
果たして書物には、ルソーその人だけでなく、「夢」に描かれる人物のモデルとなった女性や、ルソーを天才と称賛していた若きピカソなどが登場し、ティムや織絵と一緒になって、その時代やそこに生きる人々の熱情に引き込まれていきます。
そしてついに真贋を鑑定するその時にティムが下す答えには驚きがありましたが、その先に更なる驚きが待っていて、ルソーの絵画に対するものだけでなく、人としての敬意や愛情に思わず深く嘆息するものがありました。
ところで、冒頭、岡山県にある大原美術館で監視員として働く織絵の場面から始まるので、てっきり織絵が主人公かと思って読み始めました。
しかし実際はMoMAのティム・ブラウンが主人公で、織絵の内面については、冒頭と終盤に描かれるのみ。
そこで娘との関係性や織絵が抱いているものについて、思い巡らせることができるのですが、ティムと鑑定を競い合っていた際の彼女の心の内、そして決断していく様子なども個人的には知りたかったところかも。
ところで大原美術館には一度だけ訪れた事がありますが、日帰りであまり時間を取れず、ゆっくりは見学できなかったので、美観地区散策も含めてまた遊びに行ってみたくなりました。

