淡水に越してきた呉誠は、お気に入りのバー「DV8」に入り浸る毎日。
そんな呉誠の元を訪れた女性から、20年前にある殺人事件が起きた現場で別れたきりの幼馴染を探して欲しいとの依頼を受ける。
人探しを始める呉誠だったが、容疑者死亡で解決済みとなっている20年前の殺人事件について不審なものを感じる。
前作『台北プライベートアイ』では台北が舞台でしたが、続編となる本作で主人公の呉誠(ウーチェン)は台北郊外の街、淡水(ダンシュイ)に越しており、前作で登場した愛すべき人物たちに会えないのはちょっと残念。
でも、今回も呉誠の周りには個性豊かで愛すべき人々が集まり、2つの事件について語られていきます。
前作の事件を解決した事で名探偵として名の売れた呉誠。
そんな彼の元に舞い込んだ人探しの依頼は、20年前の連続殺人事件事件の調査へと転がり、更にもう一つの事件についても調査するようになる様子が描かれていきます。
とにかく呉誠の語りが読んでいて楽しく、思わずクスッと笑ってしまう事もしばしば。
また、呉誠が通うようになったバー「DV8」のバーテンダーのエマとのやり取りがまた楽しいんですよね。
エマに惹かれる呉誠ですが、少しずつ二人の距離感が縮まっていく様子と会話はなんとも微笑ましく、呉誠のどこかシニカルな語りと共に、ずっと二人の姿を見ながら読んでいたくなりました。
事件の調査については、ひとつひとつ地道な調べものの積み重ねと想像によって真相に近づいていく、オーソドックスな探偵もののスタイル。
うつ病やパニック障害を抱えている呉誠のモノローグは、哲学的な思考による部分が特徴でもありますが、その辺りぼ描写は前作よりも減ってクセも弱くなっているので、前作よりも読みやすくなっていますし、前作を読まずにこちらから先に読んでも楽しめます。
ところで巻末に、次作は呉誠をダークサイドにとの著者の言葉が。
不穏な予告に心配ではありますが、また呉誠に会えるのは嬉しいですし、できたらエマとも良好な関係のままでいて欲しいですね。


