『いまはただ瞳を閉じて』、『その胸の鼓動を数えて』に続くロマンティック・サスペンス三部作の完結編。
今回の主役はマッケンジー家の三兄妹の末っ子であるマディソンと、前作で登場したクロスビー。
マディソンの方は前作で既にクロスビーに惹かれている様子を見せていましたが、今回はクロスビー側からの視点がある事で、クロスビーも最初からマディソンに惹かれていたことが分かります。
とはいえ法を守る立場の人間であると同時に、クロスビーが抱えている秘密のためにマディソンに惹かれている事を表面上は見せません。
けれどもストレートな愛情を見せるマディソン、そしてマッケンジー家の策略もあって自身を縛っていたものが緩んでいくのが、それもなし崩し的にも見えるのが微笑ましくも可笑しかったです。
個人的には、二人が惹かれ合いながらも、特にクロスビーが表に出さない事でなかなかくっつかない様子が描かれていくのかと思っていたので、早くに二人が相手を求めるようになるのは意外な展開でした。
しかしながらそこからが本番。
前二作に比べるとサスペンス度低めでロマンス要素が多いお話になっているのですが、それはマディソンとクロスビーの他に、もう一組のロマンスも描かれているからでもあり、こちらも障壁を超えて結ばれていく様子が楽しめました。
さて、サスペンス度は低めではありますが、マッケンジー家の使命は人身売買を行う組織の壊滅や、犠牲となった人々の救助で、そういったこれまでの活動で恨みを買った事で家族への危機が迫っています。
果たしてその時、法を守る立場として人生を歩んできたクロスビーはどう感じ、そして決断するのか。また、マッケンジー家の一員として板挟みになるマディソンの想いの行方とは。
二人が葛藤する様子もいじらしいのですが、最後はもちろん、“完璧”な結末と幸福感に包まれました。

