吉田篤弘の吉田音名義による幻のデビュー作『猫が夜にひそむところ〈ミルリトン探偵局〉』の続編。
〈ミルリトン探偵局〉、それは黒猫のシンクが持ち帰ってくる様々な物の背景にある物語を推理するけど、決してその真実は解明しない、音ちゃんと円田さんによる二人だけの探偵局。
今回はその黒猫のシンクが持ち帰ってくるだけでなく、逆に持って行った先が描かれます。
それらは最初は分からないものの、そこに登場する人物が他のお話に何かしら関係があって、そうやって色んなもの繋がり世界が紡がれていく様子は、読んでいて楽しく、心地良いものが。
それはまるで、学者業に愛想を尽かして小説を書いているという円田さんが想像し、創造したい鏡の世界のようで、なんだか時空を超えて幸せな気分にさせてくれます。
それから前作よりも大人になった音ちゃんにとって将来や未来はどんなものになるのでしょうか。
でも、今この瞬間に幸せを感じれるのは何よりも素敵なことなのでは無いでしょうか。
ところでこの〈ミルリトン探偵局〉は今のところこの2作品しかありませんが、著者によると他の作品にも音ちゃんは出演しているようです。
それに〈ミルリトン探偵局〉としての更なる続編も考えているそうなので、いつかまた音ちゃんと円田さん、そして黒猫のシンクに会えることを期待したいです。

