長い刑期を終えたばかりのドートマンダーの元に、アフリカの某国の大使よりコロシアムで展示されているエメラルドを盗み出して欲しいとの依頼が舞い込む。
ドートマンダーは相棒のケルプを始めとする、四人の仲間と共に完璧な強盗計画を練るのだけれど…。
天才的犯罪プランナーにして不運な大泥棒〈ドートマンダー〉シリーズ1作目。
シリーズで未訳だった『うしろにご用心!』が今年、新潮文庫より刊行されたのが嬉しくなって(読了済み)、久しぶりに何度目かの再読をしました。
冒頭、二度目のおつとめから解放されるも、いきなり運の悪さを感じさせるドートマンダー
そしてその出所したばかりのドートマンダーに、相棒であるケルプが早速とあるエメラルドを強奪する仕事を持ち掛けてくるんですが、ここでもまたこの先に運の悪さ待っていると示唆せんばかりの二人のやり取りに、楽しすぎて堪えきれず笑ってしまいました。
そしてドートマンダーと仲間たちがエメラルドを盗み出そうとするも、結果的に失敗する様子や、更なる難関に挑む姿に思わずニヤニヤ。
あの手この手、奇想天外、予想の斜め上をいく方法でエメラルドを手に入れようとするドートマンダーたち。
しかし、どうにもこうにも上手くいかないこの仕事に嫌気が差し「百科事典を売る方がいい(詐欺だけど)」とぼやくドートーマンダーの悲哀に満ちた姿と、それとは対照的に能天気に次の計画を持ち込んでくるケルプの姿が可笑しくてしょうがなかったです。
更にはドライバーのマーチに、錠前破りチェフウィックに、それに女に目がないグリーンウッド、それぞれに笑えるような場面が用意されており、その個性的で憎めない悪党たちのお陰で最初から飽きることなく、ずっと楽しいまま一気に終盤へと雪崩れ込みます。
果たしてドートマンダーたちは無事にエメラルドを手に入れることができるのか。
ドタバタとしたその騒動の行方、ぜひ確かめて欲しいところなんですが…悲しいかな、現在絶版なんですよね。
もし古本屋さんなどで見掛けたら、迷わなくゲットを!


