猟奇的な方法による連続児童殺人事件は陪審員裁判の結果、容疑者は無罪となる。
しかし陪審員の情報がメディアに暴かれ、陪審員を務めた者たちは被害者遺族や世間からの厳しい目にさらされされた事から、コロンビア大学の心理学科長のマリアは、自ら無罪票を投じた事を発表する。
その結果、マリアは一年間休職を余儀なくされ、その休息の最後に双子の息子と娘、そして婚約者と共に大西洋横断、豪華客船クルーズに出るのだが…。
状況証拠や心証からは殺人犯だと思われるのに、陪審員裁判で無罪の評決をしてしまったら。
自由にした相手は本当はやはり殺人者だったのか、それともやはり無実だったのか。
そしてクルーズ船の中という閉ざされた空間で、同じ手口で新たな殺人が起きたとしたら。
更に自身とその家族に危機が迫っているとしたら…。
序盤は無罪とした陪審員団の情報は暴かれた事と、その陪審員を務めた他の仲間を誹謗中傷から守るために無罪票を投じたのは自分だと自ら名乗り上げ、そして更なる謂れのない非難や脅迫を受けるマリアの姿が描かれ、その悲痛な様子が伝わってきます。
そんなマリアが婚約者の提案で大西洋横断クルーズに乗船するのですが、中盤ではかつての小児連続殺人と同じ手口の殺人が起き、パニックになる様子が。
そして終盤は追い詰められ反撃するアクションと、読者を飽きさせない展開が。
とにかく魅力的な設定でグッと読者を引き付け、そして密室状態の船の中で疑心暗鬼になり追い詰められていく様子は、緊迫感があって一気に読ませてくれました。
その一方でツッコミだしたらキリが無いぐらいのツッコミポイントも。
思いのほか死人が出るんですが、ミスリードの仕方や、いかにもと思える展開、ある主要途上人物の扱いについての他、大体そもそもがどうなのよ…などなど、読んだ同士で語り合いたくなるかも(笑)。
しかし予想外なのはラストというかエピローグ。
まさかこれってシリーズ化とか考えてるのかなって思えるようなエンディング、予想もしなかったです。
何はともあれ2時間サスペンス、B級パニックアクションスリラー映画みたいに、あまり深く考えず楽しめる一冊です。

