この全体的に漂う不穏な空気感、やはりスワンソンらしいですよね。
語り手であり主人公のミステリー専門書店主のマルコムの事も、読んでいて信用でき無さそうなのもその空気感を強めてくれます。
でも本書は、信用できない語り手によるミステリーという訳では無く、スワンソンらしい企みに満ちたサスペンスで、先が気になりページを捲らせるような描き方に唸らされます。
ただ、個人的に本作が好みかどうかは微妙なところ。
ぶっちゃけ、前作の『だからダスティンは死んだ』の方が好みかも(笑)。
マルコムが過去に作ったリスト、〈完璧なる殺人8選〉。
これは完全犯罪を描いたミステリー小説から、A・A・ミルンの『赤い館の秘密』、アガサ・クリスティの『ABC殺人事件』やパトリシア・ハイスミスの『見知らぬ乗客』など8つの作品をマルコムが挙げて、過去にお店のブログ記事に載せたリスト。
そのリストに沿ってどうやら殺人事件が起きているようだとFBI捜査官グウェンの訪問を受けて知り、一緒になって調べ始めるのですが、この8つのリストを参考にした殺人の手法が、もう少しお話とリンクしているとというか、詳細に描かれていた方が、より焦燥感が増したんじゃないかな、なんて思いました。
ただ、主人公のマルコムの事を知ると、そこはあまり重きに置いてないのかなと思います。
他人との距離感を詰めるのが苦手で、最愛の妻を亡くしており、人生を達観している背景を知るほどそう感じるものが。
あぁ、そうか。
主人公の達観というか諦念めいたものが苦手というか、共感し切れなかったのが本書を好きになり切れない理由だったのかも。
あ、何気にFBI捜査官のグウェンがリストについて気付いたりと優秀だったりするのですが、彼女の事をもっと知りたかったですね。
さて、8つのリストに関してはどれもネタバレされているので、そこが気になる方は読むのは控える必要が。
気にならない人は手に取ってスワンソンらしさを感じ取ってめてはいかがでしょう。
ちなみに自分も『ABC殺人事件』や『見知らぬ乗客』ぐらいしか読んだ事はありませんが、じゅうぶん楽しめました(笑)。
あ、でも、リスト以外にもクリスティの『アクロイド殺し』や『そして誰もいなくなった』なども盛大にネタバレを食らうので、未読の人はこの辺りは抑えておくのを推奨です(笑)。
それから、スワンソンの作品には共通して猫が登場しますが、今回もマルコムが書店で飼っているネロという猫が登場します。
このネロがきっかけで話が大きく展開するんじゃないか、なんて予想しながら読んだ人も多いんじゃないでしょうか。
ともあれ、ネロが今後も書店で、そしてネットにて可愛がってもらえるといいなぁ。

