『豹の呼ぶ声』 マイクル・Z・リューイン | 固ゆで卵で行こう!

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〈私立探偵アルバート・サムスン〉シリーズ7作目。

再読ですが、やはりなんと言ってもこのラストですよね~。

読み終えて呆然というか、この先はどうなるのだろうと初めて読んだ時はショックというか、放心した覚えがあります。


さて、今回サムスンは、インディアナポリス市内で起きている爆弾事件に巻き込まれる事になります。

ただし、爆弾事件とはいっても、どれも犯行グループ〈アウトロウ戦線〉によって爆弾が置かれている場所が告げられており、また、爆弾には導火線が繋がっていないなど、実際に爆発した事は無く、テロリストなのに世間からは好意的にさえも見られている事件。

ところが、設置した爆弾が消えてしまった事から、犯人グループがその消えた爆弾探しをサムスンに依頼してくるという、なんだか奇妙ともいえる依頼。

そして奇妙といえば、この事件の描き方もこれまでのシリーズとはちょっと毛色が違うように思えます。

探偵事務所存続の危機に、やりたくもない演技やCM作成など、背に腹は代えられない姿などがユーモアたっぷり。

サムスンの娘だけで無く、母、そして母の店で働くコックとのやり取りなど、これまでシリーズではあまり見られなかった場面も。

実際、これまでで最も軽い感じの雰囲気もあるんですが、そういえばこの頃からリューインのユーモア描写や、家族をテーマにした作品が増えてきたような印象がありますね。


しかし、アルバート・サムスンがアルバート・サムスンとして変わらないものが。
「やりたくない」「やらない」と自身の中で決めているものを貫く姿はやはり格好いいんですよね。
けれども、その貫き通した結果とは…?!


本作のあと、しばらくシリーズが止まってしまい、次作が出るまでかなりの時間(10年以上)があったので、ずっとモヤモヤしたものを抱えたものでした(笑)。