何者かに誘拐されかけた22歳の女子学生ベイリーは、死んだと聞かされていた父親がじつは生きており、しかも世界屈指のサイバー・セキュリティ企業のCEOで億万長者で、誘拐未遂は彼の隠し子であることが原因だった。
身の安全のため、ベイリーは厳重な警備が敷かれた父の屋敷に移ることになるのだが、ボディガードとして彼女の前にあらわれたカシュトン・コレロに、ベイリーは強烈に惹かれてしまう。
天才ハッカーでもあるベイリーは何者かに誘拐されかけ、母からは死んだと聞かされていた父は、実は憧れのサイバーセキュリティー会社のCEOと知らされ、セクシーで謎めいた青年カッシュ・コレロに守られながら誘拐の真相が描かれていくロマサスです。
ベイリーが持つ映像記憶能力など、設定をもっと活かして欲しかったりなど、少々大味な部分は否めません。
しかし、母親と二人だけの家族だったベイリーが、新たな家族を得て持つようになる愛情など、セレブたちの中で複雑で欲望渦巻く人間関係を描きつつも、スピード感もあって一気に読ませます。
特に異母弟のマットとのやり取りはヒヤヒヤさせられます。
自堕落ともいえるマットが、自身の欲望にかまけてベイリーを振り回すことで、ベイリーはセレブの世界を知ると共に危機に陥ってしまいます。
そのマットを含め、誰にも対しても影響力をもつカッシュ。
ゴージャスでセクシーなカッシュにどうしようもなく惹かれていくベイリーですが、カッシュもまたベイリーに惹かれている様子が。
この辺り、何故カッシュがベイリーに惹かれるのかという理由を問うのは野暮なのかな(笑)。
しかし、ベイリーに惹かれつつも自身の抱える秘密に思い悩み、ベイリーに対しても一線を越えようとしない様子はロマンス部分として読者をじれったくもさせてくれますね。
果たしてカッシュが抱える秘密とは。
そしてベイリーを待ち受ける運命は。
ベイリーが主役かと思いきや、実は真の主役はカッシュとも思える展開で、最後は「え?!」と思うようなヒキの場面で終わってしまいます。
てな訳で、続きが知りたくてたまりません。
続編、どうか出版されますように…!
