『誠実な嘘』 マイケル・ロボサム | 固ゆで卵で行こう!

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出産を控える、アガサとメグ、という二人の女性が主人公。

キャスターの夫に、二人の子供、更に三人目を身ごもり、カリスマ主婦ブロガーでもあるメグの結婚生活は誰もが羨むようなものに見えます。

一方、スーパーマーケットで働くアガサは、恋人の子供を身籠るもの、その恋人が自身から離れていってしまう中で、メグに憧れメグの生活を盗み見る毎日を過ごしています。

二人は出産時期が近い事から仲良くなるのですが、アガサがメグの生活に入り込む事に成功した後、ある悲劇が起きます。

アガサもメグも、二人ともある秘密を抱えているのですが、何よりアガサが《嘘》で一体何を起こそうとしてるのか、おぼろげに見えてきた時は、背筋がぞっとするものが。

また、メグの抱えた《嘘》は、完璧に見える結婚生活の様子を反転させますし、アガサとメグ、二人のその秘密の重さが、読者にも、じわりじわり、と染み入るように描かれており、特に、《嘘》に《嘘》を重ねる事で《真実》にしてしまおうとする姿の危うさに、読み進めるのが辛くなるかも知れません。

とはいえ、先が気になり、終盤は一気読み。


アガサが抱えてきた悲しみと痛みは想像を絶するものがあり、ゆえに、決して彼女を憎み切れないけれども、アガサがある一線を越える時以降は恐ろしさも加速します。

 

この時の「奴は知っている」というアガサの内なる声がアガサの狂気を表し恐怖心を煽っってくるのですが、この内なる声、アガサの計画が順調な時にはおとなしいものの、その計画に齟齬が出そうになってからメグを焚きつけるように語りかけるので、効果的なんですよね。

 

果たしてアガサの苦悩と願いの行方は。

そして傍から見ると理想的に見えるも、実は崩壊しかけていたメグ家族はどうなるのか。

 

ラストにどのように感じるのか、それぞれ読者によって変わってきそうなところが誰かと語りたくなる部分でもあるのではないでしょうか。

 

個人的にはメグ家族には‟許し”を与え合う事で家族の絆を取り戻して幸せになって欲しいと思うんですが、甘い考えでしょうかね(笑)。


さて、本書は、『生か、死か』と『天使と嘘』の二作品でゴールドダガー賞を受賞した著者の、緊迫感溢れる心理描写が堪能できる、読み応え抜群のスリラーですが、『天使と嘘』の主人公である臨床心理士のサイラスが(脇役として)登場しておりますので、『天使と嘘』と合わせて是非ぜひ。