『第八の探偵』 アレックス・パヴェージ | 固ゆで卵で行こう!

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編集者ジュリアは、小島で一人暮らすグラント・マカリスターに、彼がかつて独自の理論に基づいて、探偵小説黄金時代に私家版として刊行した『ホワイトの殺人事件集』という一冊の短篇集の復刊を持ち掛け、そのために収録作を読み返し議論を交わしていく。

 

 

 

 

かつて私家版として出版されたミステリ短編集『ホワイトの殺人事件集』を復刊させるために、著者のグラントが隠遁生活を送っている小島を訪れた編集者ジュリア。

 

各話毎に朗読し数学的理論と共に議論を交わしてく中で浮かぶ上がる、各話の瑕疵と疑惑が不穏な空気を醸成してく様が面白かったです。

 

作中作として語られる7つの短編。

 

それぞれ語られた後に矛盾点が指摘されるのですが、読んでいる間は全く気付かなかったり、なんとなく匂うな思うところもあり。

 

とはいえジュリアの指摘が無ければ気付けないままなのが悔しいような、嬉しいような(笑)。

 

矛盾点が指摘された事で、全く別の物語としての面が見えてくる様子が鮮やかです。

 

また、各話毎にミステリとして数学的に定義する様子には思わずメモして確かめたくなるかも(笑)。

 

そして終盤で明らかになる真実というのも、ミステリを描く上で更に実験的なものとして興味深いものでした。

 

しかし、オチがちょっと弱いかな。

 

それまでが予想を超える話で繋げられてきただけに、最後は予想の範囲内で驚愕度が薄目となる点は少々残念かも。

 

とはいえ、その辺りも実は自分が何か見逃しているのでは・・・なんて自信無かったりして(笑)。