図書館に行くと出掛けたきり行方不明となった15歳のエリー。
手掛かりもないまま10年が過ぎた頃、エリーの人骨が見つかる。
エリーの母ローレルは夫との関係は破綻し、娘や息子とも疎遠になり、失意の底から抜け出せないま孤独に暮らしたいたが、数学教師だというフロイドに出会い急速に惹かれていく。
そしてフロイドの家に招かれた時に目の前に現れたのはフロイドの娘で、ローレルが失った娘エリーにそっくりな少女ポピーだった。
平凡な主婦ローレルの日常が愛娘エリーの失踪により狂うサスペンススリラー。
ローレルを始めとしてどの登場人物も胸に何かを抱えている様子が見え、前半はその何かに不穏さと居心地悪さを感じます。
特にエリーとそっくりな少女ポピーの存在が、ポピーのどこか人間性に欠けた様子もあって不穏さが倍増。
それが第三部で、ある人物の視点が加わると不気味さと恐ろしさ、そしてそれが示唆するものに怖さが増して読み進むのが辛くなる程でした。
正直、想像した展開が待ち受けていたのですが、その想像通りになって欲しくないとの気持ちでいっぱいになり、
「やめて~!」
と叫びたくなるほど恐ろしかったですね。
この恐ろしさは、その怖さゆえに読むスピードを鈍らせるか、それとも怖いもの見たさで加速させるのか、読者によっても分かれそうです。
やがて、ローレルは娘エリーの失踪の真実とその裏にあるものに直面する事になるのですが、果たしてその時にローレルを含め登場人物達が一体何を思い、そしてどういった決断をするのか・・・。
ローレルが真実を知る過程で、それぞれが抱えていた傷やトラウマなどが描かれ、その苦しみ、痛みには胸を締め付けられるものが。
しかし失ったもの、傷付いていた心、そして欠けてしまった家族の絆が癒されようとする様子は胸をあたたかくもしてくれます。
それゆえローレルがエリーを失って以降はじめて知る愛情や希望が痛々しくも、そして切なくもあり、もしかしたら違った結末を迎える事ができたのではないか、それともこれで良かったのかと、読了後も胸がざわつき独特の余韻が残りました。