『ザ・プラスワン マリハラがつらくて、カレを自作してみた。』 サラ・アーチャー | 固ゆで卵で行こう!

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妹の結婚式に一緒に参列する男性〈プラスワン〉を連れてきなさいと母からいわゆる〝マリハラ”というプレッシャーを掛けられている29歳のケリーは、シリコンバレーで働くロボット・エンジニア。

 

他人との関係性を築くのが苦手なケリーは、デートアプリを利用してみたり、親友の誘いを受けてバーに繰り出して出会いを求めてみるもうまくいきません。

 

結果、ケリーは職場に忍び込んで何もかも自分好みのアンドロイド、イーサンを自作する事にします。

 

そのイーサンとの生活は、自分の理想を詰め込んだだけあって、独り暮らしの楽さよりも二人で暮らす事の楽しさを実感するように。

 

更に、見た目も何もかも完璧に作り上げたため、母親や家族の前や職場の同僚たちの前にイーサンを連れていった後もアンドロイドである事がバレない事や、更なる母からのプレッシャーや自身のプライドゆえに、期限を決めてイーサンを廃棄する事にしていたはずがその決断も鈍鈍ってきます。

 

自分にとって理想的過ぎるイーサンに対し、いつしか恋をしてしまうケリーが、母との確執、家族や親友との関係や仕事の事など理想と現実の間で悩む姿は、時に目を覆いたくなるほど痛々しくもあります。

 

このイタイ部分。

 

ここに共感できるかどうかで本書の楽しみ方も変わってくるかも知れませんね。

 

また、実際にマリハラを経験したという方の感想も聞いてみたくもなりました。

 

実際、イタイなと思う方は自分の中に同じような部分があるのではないでしょうか(笑)。

 

しかし、イーサンの事がある人物にバレ、そして窮地に陥ったケリーが、苦手だった人間関係とも向き合い、そして決断できるようになる姿は清々しささえ感じるかも。

 

たとえラストが、「え? ケリー、それなの?! それでいいの?!」と思ったりしても(笑)。