『完全記憶探偵エイモス・デッカー ラストマイル』 デイヴィッド・バルダッチ | 固ゆで卵で行こう!

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〈完全記憶探偵エイモス・デッカー〉シリーズ2作目。

 

両親を殺害した罪で20年服役し死刑執行直前で、真犯人しか知り得ない事実をもって自供をした人物が現れ無罪が証明されたメルヴィン・マーズ。

 

そのマーズ、20年前は実はNFLのドラフトで上位指名が確実視されていた、黒人のスター選手でした。

 

FBI特別捜査班のメンバーとなったデッカーは、数ある未解決事件の中から妻子を殺された自身の過去の事件を想い、その謎に挑む事に。

 

前作(過去記事はこちら)同様に捜査を重ねて一歩ずつ事件の解明に近づいていく様子が描かれるのですが、とにかく謎が謎を呼ぶ展開で、今回も息つく暇も無かったです。

 

目にしたもの全てを記憶し再生する事ができるという完全記憶を持つデッカーですが、その能力を持っているだけでは決して事件を解明する事は出来ません。

 

巻き戻した記憶の中の手掛かりに気付く事が出来るからこそデッカーが優秀であると言え、デッカーが見せる分析能力が事件の真相に繋がる様子も見どころでしょう。

 

 

また、デッカーはその能力を持つゆえに人間らしい感情に欠落しているところがあります。

 

それが特別捜査班のチームの面々との協力や、真相を一緒に解明しようと行動を共にするマーズとの間に築き上げられていく友情によって、徐々に人間味が増してくる姿が印象的でした。

 

果たしてマーズの両親の死の真相とは?!

マーズが死刑囚として獄中に入れられるよう諮った人物は?!

 

事件の真相の一部は予想されますが、全て明らかになる時に浮かび上がる人種問題や死刑制度に関する問題提起、そして親子の愛情や仲間たちとの友情など読みどころ盛沢山でボリュームありながらも、先が気になり今回も睡眠時間を削って一気読みいたしました。

 

 

 

ところで本シリーズ、今のところこの2作目までで翻訳が止まっています。

 

しかし本国では人気シリーズとしてこの先も続いています。

 

巨漢のデッカーがスリムとなった姿で活躍するようになるとの事なので、その姿も気になる!

 

シリーズ翻訳熱烈希望!