10歳のときに5歳の幼児を殺した悪名高い女サリー・マクゴワンが名前を変えて自分の住む町に住んでいるという噂を聞いたシングルマザーのジョアンナは、息子が田舎の海辺の町で馴染めるためにと、話のきっかけとしてママ友たちにその噂を流してしまう。
やがてその噂は一人歩きし、疑心暗鬼にかられた住人達が殺人犯を捜し始める。
うぅ、怖かった。
苛めを受けていると思われる息子のために、同じスクールの親達と仲良くなるために軽率にも流してしまった噂。
ほんのちょっとしたきっかけで悪意が広がり、それがブーメランとなって返ってくる様子。
それが徐々に増幅され、不穏な空気感と恐怖心が煽られて読み進めるのも辛くなりました。
けれども殺人者は本当に近くにいるのか。
そして近くにいるとしたら一体誰なのかといった謎も気になり、先を読みたいのに読み進めないジレンマと戦う事になるぐらい怖かったです(笑)。
噂が広まり、住民達が疑心暗鬼になり、怪しいと思われた住民が攻撃を受ける様子に心を痛めるジョアンナですが、決して彼女の事を責めるように気持ちになれないのは、同じような立場になったら自身の弱さから同じような言動を取ってしまうだろうと思ってしまうからでしょう。
「早くその噂を流した事に立ち向かって!」
そんな風にジョアンナに声を掛けたくもなりましたが、息子の父親であるマイクルがジョアンナと一緒になろうと言ってくる様子にも何か裏があるのでは、もしくはやはり二人の仲はこの噂のせいでうまくいかないのではと、そんな不安感を読んでいて抱いたのも怖さを更に増す要因だったかも知れません。
個人的にラストはもうちょっとボヤっとした感じで締めたくれた方が好みだったかも知れません。
けれど全体を覆う不穏な空気と怖さの上に、ジョアンナが何者かに受ける脅迫など、殺人者の正体といった謎が物語を牽引し、サスペンスとして最後の最後まで実に読み応えありました。