〈特捜部Q〉シリーズ7作目。
最新作が出たので長らく積読だった本作をようやく手を付けましたが、デンマークの手厚い社会保障ゆえに現れる闇を描くなど、これまで通り社会問題をエンタメとして昇華させて読者を惹きつけるのが実に上手いですね。
実際、事件を起こすソーシャルワーカー、アネりの怒りというのは理解できます。
生活保護について相談しにくる女性たちがいかに不正受給を行っているかを目の当たりにすれば、自身の行っている事の無意味さに虚しくなる事は間違いないでしょう。
不正受給を行い、気ままに暮らす若い女性達を狙うようになるアネり。
けれども、その怒りと憎しみが増していく様は殆どサイコパスでしたね。
また、計画はあっても杜撰で、カール達が気付かなくとも事件の概要は露呈し、アネリが自滅してくのも時間の問題だった事でしょう。
それよりも何よりも、本作の一番のポインはやはりローセの謎がついに明かされるところですね。
彼女の過去と家族、そして彼女を蝕んでいた闇が明らかになるのですが、一層彼女の事を愛おしい存在に感じるようになるのは、カールやアサド達だけでなくシリーズを追いかけてきた読者達も一緒では無いでしょうか。
思いがけず事件に巻き込まれ大きな傷を負ったローセですが、自身の闇と向き合う事ができるようになります。
傷が癒えた時には再びQのメンバーとして活躍してくれるよね、きっと。。。
さて、次回はいよいよアサドの謎が多少なりとも明らかに?!