『裁きの街』 キース・ピータースン | 固ゆで卵で行こう!

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裁きの街 (創元推理文庫)

 

『暗闇の終わり』()、『幻の終わり』()、『夏の稲妻』()に続く、新聞記者<ジョン・ウェルズ>シリーズ4作目。

 

ある情報を得て、宿敵ともいえるワッツ刑事を追い詰める事が出来ると喜ぶウェルズ。

 

その矢先、なんとウェルズが正当防衛とはいえ人を殺してしまうという衝撃の展開で読書を引き付けます。

 

そもそもなぜウェルズが見知らぬ男から襲撃を受けたのかといった謎を抱えながら、宿敵ワッツ刑事の働きによって次第に絶体絶命ともいえる事態へと追い込まれていく様子が、シリーズの中でも最もサスペンスフルに描かれています。

 

そんな中、「犯した罪は償わなければならない」とウェルズ自身も自身を追い込んでいく姿は、タフなだけでなく弱さを持つ等身大の人間として描かれているのも特徴でしょうか。

 

そんな強さと弱さを持ちながら、男としての、そして記者としての矜持を失わないウェルズだからこそランシングも惚れるのよね~。

 

この最終作では、これまでランシングの想いにはあえて避けてきたウェルズが、ランシングの放つ輝きをついに直視し、二人の関係にもついに決着が見られるのもシリーズを追いかけてきたファンには嬉しいところでしょうか。

 

そんなランシングの魅力を語る巻末の解説がまた傑作です(笑)。