なんとなく思い立ち再読したのは新聞記者〈ジョン・ウェルズ〉シリーズの一作目です。
時代の波に逆らいタイプライターを愛用する敏腕新聞記者ジョン・ウェルズ。
そんな彼が上司に押し付けられるように取材する事になるのは高校生3人が立て続けに自殺した事件。
現場となった田舎町を訪れ残された遺族に取材するウェルズも、娘を自殺で失っている痛みを抱えており、残された者の哀しみと悔恨の念が全体を覆います。
事件は思いがけぬ形で真実が見えてくる中、若者が抱く生きる事の懊悩が、事件を通じてウェルズが娘を失った過去とようやく向き合えるようになる様子がまた切なくもあります。
美貌の女性記者ランシングやお人良しのマッケイ、そして身近な記事を書けと命令してくるいけすかない上司ケンブリッジなどとの小気味良い会話も魅力的な傑作シリーズ。
残りも再読中です!
暗闇の終わり (創元推理文庫)