夫が鬱病を患い突然、東京から夫の故郷である田舎へと移り住む事になった梨々子。
田舎での生活に戸惑い、夫との関係や、子供たちの成長など移りゆく時の中で変化していくものとは・・・。
鬱病を患った夫が仕事を辞め、夫の故郷である北陸の田舎へ二人の子供と共に移り住む事になった梨々子。
美人で都会での暮らしに満足していたはずの梨々子だけれど、田舎で暮らし始めてそれが表層的なものだった事に気付きます。
けれども田舎での暮らしも上っ面だけのもので、家族の為、夫の為と言いながら、結局は自分の為である薄っぺらい人生のよう。
夫とすれ違ううちに大きくなる夫との壁。
また、梨々子が夫や子供たちに対しても淡々としているように描かれているのが、梨々子が人生そのものを諦めているかのようでもありました。
そんな中で、その虚無感を埋めるかのように現れた男性に抱く想いや、日々成長し続ける子供たちへの想いなど、日々の積み重ねの中で気付き始めるのは、ほんのちょっとした変化と誰のものでもない自分自身の人生。
それを受け入れた時に見える風景はこれまでと一緒だけど、どこか暖かいものとして見れるのかも知れません。
それにしてもこの作品はなんとも胸をざわつかせてくれました。
地元を舞台にしているせいもあって、より平静な気持ちでは読めないものがありましたが、著者である宮下さんが、この作品は読者の方も好き嫌いが分かれると仰ってたのも頷けます(笑)。
田舎の紳士服店のモデルの妻 (文春文庫)